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  滋賀県琵琶湖のレジャー利用の適正化に関する条例


     制定  平成14年10月22日 条例第52号
     施行  平成15年 4月 1日


目 次
 前 文
 第1章 総 則(第1条−第5条)
 第2章 レジャー活動に伴う環境への負荷の低減に関する施策(第6条−第11条)
 第3章 プレジャーボートの航行に関する規制等(第12条−第17条)
 第4章 外来魚の再放流の禁止等(第18条・第19条)
 第5章 環境配慮製品の開発および普及(第20条−第22条)
 第6章 滋賀県琵琶湖レジャー利用適正化審議会(第23条・第24条)
 第7章 雑 則(第25条)
 第8章 罰 則(第26条)
 付 則


 世界屈指の歴史的な存在であり、類のない固有の生態系を有する琵琶湖は、時に厳しくも穏やかに私たちをはぐくんできた。
 この琵琶湖が私たちに与えた恵沢は、豊かな水とそれによりもたらされる水産資源や農産物といった日々の糧にとどまらず、歴史とともに伝え継がれた独自の文化や幼少期の原風景などの形成にも深くかかわるものであった。
 白砂に戯れ、水鳥とともに生い茂るヨシの水辺を散策し、時には舟でさざ波に揺られることで、琵琶湖の懐に包まれた私たちの心は優しく癒され、新たな活力が浸み入るように満ち広がった。
 私たちは、琵琶湖と接することで、日々の束縛から解き放たれ、その恵みを誰もが等しく享受できることを切なる願いとしつつも、なお今日的な課題があることを認識している。
 これまでの私たちの営みの中には、琵琶湖固有の生態系にとって必ずしもよい影響を与えないものもあったことを私たちは学んだ。このことは、琵琶湖の保全のための取組をより一層進めつつ、教訓として将来に伝えていく必要がある。が、私たちの大切な財産である琵琶湖の水質に負荷を与え、周辺の生活環境に著しい影響を及ぼしており、また琵琶湖固有の生態系の保全という普遍の価値観も、人々の個々様々な活動が行われる中で、損なわれようとしている。
 私たちは、琵琶湖を訪れる多くの人々が、その雄大な自然に触れ、琵琶湖の価値を共有することを心から望むとともに、これらの人々に私たちの得た教訓を伝え、一人ひとりが、その活動において、自然の長い営みにより培われた生態系に人が与える影響の重大さや琵琶湖の自然環境とその畔に暮らす人々の生活に対してできる限り負荷がかからないものであるべきことを深く認識し、自らの行動に移していくことが重要であると考える。
 私たちは、このような行動の社会への広がりと定着を一層促進するとともに、琵琶湖においてレジャー活動に伴う環境への負荷の低減を図るための施策を総合的に展開していくことが極めて重要であると認識するに至った。
 私たちは、琵琶湖におけるこの取組が自然と共生する滋賀らしさの象徴となるとの揺るがぬ想いの下、未来からの、そして世界からの大切なあずかりものである琵琶湖の環境をできる限り健やかなまま次代に引き継ぐことを決意し、ここに滋賀県琵琶湖のレジャー利用の適正化に関する条例を制定する。


      第1章 総 則
 (目的)
第1条  この条例は、琵琶湖におけるレジャー活動に伴う環境への負荷の状況にかんがみ、その負荷の低減を図るために必要な琵琶湖のレジャー利用の適正化に関し、県、レジャー利用者および事業者の責務を明らかにするとともに、県の行う施策の基本となる事項を定め、プレジャーボートの航行に関する規制その他の必要な措置を講ずること等により、琵琶湖におけるレジャー活動に伴う環境への負荷の低減を図り、もって琵琶湖の自然環境およびその周辺における生活環境の保全に資することを目的とする。

 (定義)
第2条  この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
(1) 琵琶湖 河川法(昭和39年法律第167号)第4条第1項の規定に基づき一級河川に指定された琵琶湖、淀川(瀬田川洗堰から上流の区域に限る。)および西之湖ならびに規則で定める内湖をいう。
(2) 環境への負荷 人の活動により琵琶湖の自然環境およびその周辺の生活環境に加えられる影響であって、これらの環境の保全上の支障の原因となるおそれのあるものをいう。
(3) レジャー活動 レクリエーションその他の余暇を利用して行う活動をいう。
(4) レジャー利用者 琵琶湖においてレジャー活動を行う者をいう。
(5) プレジャーボート 水上オートバイ、モーターボートその他の推進機関としての内燃機関(以下「機関」という。)を備える船舶(船舶安全法(昭和8年法律第11号)第2条第2項に規定する船舶を除く。)のうち、次に掲げる船舶以外の船舶をいう。
 ア 漁船法(昭和25年法律第178号)第2条第1項に規定する漁船
 イ 海上運送法(昭和24年法律第187号)の規定による船舶運航事業の用に供する船舶
 ウ 国または地方公共団体が所有する船舶
 エ 専らレジャーの用に供する船舶以外の船舶として規則で定める船舶
(6) 航行 機関を用いて船舶が進行することをいう。

 (県の責務)
第3条  県は、琵琶湖におけるレジャー活動に伴う環境への負荷の低減に関する基本的かつ総合的な施策を策定し、および実施するものとする。
2  県は、琵琶湖におけるレジャー活動に伴う環境への負荷の低減に関し、市町村との連携を図るとともに、市町村が実施する琵琶湖におけるレジャー活動に伴う環境への負荷の低減に関する施策について必要な調整および協力を行うものとする。

 (レジャー利用者の責務)
第4条  レジャー利用者は、琵琶湖においてレジャー活動を行うに当たっては、環境への負荷の低減に努めなければならない。
2  レジャー利用者は、県が実施する琵琶湖におけるレジャー活動に伴う環境への負荷の低減に関する施策に協力しなければならない。

 (関係事業者の責務)
第5条  琵琶湖におけるレジャー活動に関する事業を営む者(以下「関係事業者」という。)は、その事業を行うに当たっては、琵琶湖におけるレジャー活動に伴う環境への負荷の低減を図るため、レジャー利用者に対する情報の提供その他の必要な措置を講ずるよう努めなければならない。
2  関係事業者は、県が実施する琵琶湖におけるレジャー活動に伴う環境への負荷の低減に関する施策に協力しなければならない。

     第2章 レジャー活動に伴う環境への負荷の低減に関する施策
 (基本計画の策定)
第6条  知事は、琵琶湖におけるレジャー活動に伴う環境への負荷の低減に関する施策の総合的な推進を図るための基本的な計画(以下「基本計画」という。)を策定するものとする。
2  基本計画には、琵琶湖におけるレジャー活動に伴う環境への負荷の低減に関する長期的な目標、基本となる方針、施策の方向その他の重要事項を定めるものとする。
3  知事は、基本計画を策定するに当たっては、あらかじめ県民、レジャー利用者および関係事業者の意見を反映することができるよう、必要な措置を講ずるものとする。
4  知事は、基本計画を策定するに当たっては、あらかじめ滋賀県琵琶湖レジャー利用適正化審議会の意見を聴くものとする。
5  知事は、基本計画を策定したときは、これを公表するものとする。
6  前3項の規定は、基本計画の変更について準用する。

 (広報、啓発等)
第7条  県は、レジャー利用者および関係事業者の琵琶湖の自然環境およびその周辺の生活環境の保全についての理解を深めるため、広報、啓発その他の必要な措置を講ずるものとする。

 (県民等の活動の促進)
第8条  県は、県民、レジャー利用者、関係事業者またはこれらの者が組織する団体が行う琵琶湖における環境への負荷の少ないレジャー活動の推進のための活動および琵琶湖におけるレジャー活動に伴う環境への負荷の低減を図るための活動を促進するため、情報の提供、助言その他の必要な支援を行うものとする。

 (公共的施設の整備)
第9条  県は、琵琶湖における環境への負荷の少ないレジャー活動の推進および琵琶湖におけるレジャー活動に伴う環境への負荷の低減を図るために必要な公共的施設を整備するものとする。

 (調査研究) 第10条  県は、琵琶湖におけるレジャー活動に伴う環境への負荷の低減に関する施策を策定し、効果的に実施するため、必要な調査研究を行うとともに、その成果を公表するものとする。

 (琵琶湖レジャー利用監視員の設置)
第11条  知事は、琵琶湖におけるレジャー活動に伴う環境への負荷の低減を図るために必要な指導および啓発活動を行わせるため、琵琶湖レジャー利用監視員を置くものとする。

     第3章 プレジャーボートの航行に関する規制等
 (プレジャーボートの航行を規制する水域)
第12条  知事は、住居が集合している地域、病院または学校の存する地域その他の騒音を防止することにより住民の生活環境を保全する必要があると認める地域に隣接し、または近接する琵琶湖の水域のうち、当該地域の生活環境を保全するためプレジャーボートの航行により発生する騒音を防止する必要があると認める水域を、プレジャーボートの航行を規制する水域(以下「航行規制水域」という。)として指定することができる。
2  前項の規定による航行規制水域の指定は、河川法第6条第1項に規定する河川区域の境界から生活環境を保全するため必要な限度において規則で定める距離を超えてしてはならない。
3  知事は、航行規制水域を指定しようとするときは、あらかじめ関係市町の長および滋賀県琵琶湖レジャー利用適正化審議会の意見を聴かなければならない。
4  知事は、航行規制水域を指定するときは、その旨および区域を告示し、その関係図書を公衆の縦覧に供しなければならない。
5  航行規制水域の指定は、前項の規定による告示によってその効力を生ずる。
6  前3項の規定は、航行規制水域の変更または廃止について準用する。

 (プレジャーボートの航行の禁止)
第13条  プレジャーボートの操船者は、航行規制水域においてプレジャーボートを航行させてはならない。ただし、次の各号のいずれかに該当する場合は、この限りでない。
(1) 次のいずれかに該当する移動のためにプレジャーボートを航行させる場合であって、当該移動に当たり最短となる経路をできる限り騒音を減ずるための措置を講じて航行させるとき。
  ア  航行規制水域に接する琵琶湖岸と当該航行規制水域外の水域または当該航行規制水域内の停留(機関を停止して行う停留に限る。以下この号において「停留」という。)をする場所との間の移動
  イ  航行規制水域内の停留をする場所と当該航行規制水域外の水域または当該航行規制水域内の他の停留をする場所との間の移動
(2) 水難その他の非常の事態の発生に際し必要な措置を講ずるためプレジャーボートを航行させる場合
(3) 国または地方公共団体の業務を行うためプレジャーボートを航行させる場合
(4) 前3号に掲げるもののほか、公益上の必要その他やむを得ない事由があるものとして規則で定める場合

 (停止命令)
第14条  知事は、前条の規定に違反して、航行規制水域においてプレジャーボートを航行させている操船者に対して、当該違反行為の停止を命ずることができる。

 (2サイクルの原動機の使用禁止)
第15条  プレジャーボートの操船者は、2サイクルの原動機(規則で定める方式の2サイクルの原動機を除く。)を推進機関(補助的な推進機関を除く。)として備えるプレジャーボートを琵琶湖において航行させてはならない。

 (改造を加えたプレジャーボートの航行の禁止)
第16条  プレジャーボートの操船者は、消音器の除去、消音器の騒音低減機構の除去その他の騒音を防止する機能に著しい支障を及ぼす改造で規則で定めるものを加えたプレジャーボートを 琵琶湖において航行させてはならない。

 (プレジャーボートの操船者等の遵守事項) 第17条  プレジャーボートの操船者は、琵琶湖岸においてプレジャーボートの機関の回転数をみだりに増加させ著しく他人に迷惑を及ぼすこととなるような騒音を生じさせてはならない。
2  プレジャーボートの操船者は、琵琶湖岸付近においてプレジャーボートを航行させるときは、当該プレジャーボートの航行により発生する騒音によって他のレジャー利用者等に著しく迷惑を及ぼすことがないように、速力を減ずる等必要な措置を講じなければならない。
3  プレジャーボートの操船者は、琵琶湖においてプレジャーボートを航行させるときは、水道取水施設、えりその他の工作物への衝突等に伴う琵琶湖への燃料の流出を防止するため、当該工作物との間に安全な距離を保ち航行する等必要な措置を講じなければならない。
4  プレジャーボートに給油を行う者は、琵琶湖への燃料の流出を防止するため、適切な方法による給油の実施その他必要な措置を講じなければならない。

     第4章 外来魚の再放流の禁止等
 (外来魚の再放流の禁止)
第18条  琵琶湖におけるレジャー活動として魚類を採捕する者は、外来魚(ブルーギル、オオクチバスその他の規則で定める魚類をいう。)を採捕したときは、これを琵琶湖に放流してはならない。

 (水鳥の生息地への配慮)
第19条  レジャー利用者は、琵琶湖においてレジャー活動を行うに当たっては、水鳥の営巣地その他の水鳥の生息地の保全に配慮するよう努めなければならない。

      第5章 環境配慮製品の開発および普及
 (環境配慮製品の開発等)
第20条  琵琶湖におけるレジャー活動において使用される製品の製造を行う事業者は、当該製品が水質の保全、騒音の防止その他の環境の保全に配慮したものとなるようその開発および製造に努めなければならない。
2  琵琶湖におけるレジャー活動において使用される製品の販売を行う事業者は、その販売を行うに当たっては、水質の保全、騒音の防止その他の環境の保全に配慮した製品(以下「環境配慮製品」という。)に関する情報の提供その他の環境配慮製品の普及のために必要な措置を講ずるよう努めなければならない。

 (環境配慮製品の使用)
第21条  レジャー利用者は、琵琶湖においてレジャー活動を行うに当たっては、環境配慮製品を使用するよう努めなければならない。

 (環境配慮製品の使用の促進)
第22条  県は、レジャー利用者による環境配慮製品の使用を促進するため、環境配慮製品の開発、製造および販売の状況等に関し必要な調査を行い、環境配慮製品に関する情報および琵琶湖におけるレジャー活動において使用される製品に係る環境への負荷に関する情報の提供その他の必要な措置を講ずるものとする。
2  知事は、前項の措置を講ずるため必要があると認めるときは、第20条第1項または第2項に規定する事業者に対し、環境配慮製品の開発、製造および販売の状況等に関し報告を求めることができる。

     第6章 滋賀県琵琶湖レジャー利用適正化審議会
 (滋賀県琵琶湖レジャー利用適正化審議会の設置)
第23条  地方自治法(昭和22年法律第67号)第138条の4第3項の規定に基づき、知事の附属機関として滋賀県琵琶湖レジャー利用適正化審議会(以下「審議会」という。)を設置する。
2  審議会は、第6条第4項および第12条第3項に規定する事項を調査審議するほか、知事の諮問に応じ、琵琶湖におけるレジャー活動に伴う環境への負荷の低減に関する事項を調査審議する。
3  審議会は、前項の調査審議を行うほか、琵琶湖におけるレジャー活動に伴う環境への負荷の低減に関する事項に関し、知事に意見を述べることができる。

 (審議会の組織等)
第24条  審議会は、委員15人以内で組織する。
2  委員は、学識経験を有する者、県民から公募した者その他知事が適当と認める者のうちから知事が任命する。
3  委員の任期は、2年とする。ただし、委員が欠けた場合における補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。
4  委員は、再任されることを妨げない。
5  前各項に定めるもののほか、審議会の組織および運営に関し必要な事項は、規則で定める。

     第7章 雑 則
 (規則への委任)
第25条 この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。

     第8章 罰 則
 (罰則)
第26条 第14条の規定による命令に違反した者は、30万円以下の罰金に処する。

 付 則
1   この条例は、平成15年4月1日から施行する。ただし、第1章および第6章の規定ならびに付則第3項中滋賀県特別職の職員の給与等に関する条例(昭和28年滋賀県条例第10号)第1条第39号の4の次に1号を加える改正規定は平成14年12月1日から、第15条の規定は平成18年4月1日から施行する。
2  第15条の規定の施行の際現に2サイクルの原動機(規則で定める方式の2サイクルの原動機を除く。)を推進機関(補助的な推進機関を除く。)として備えるプレジャーボートを所有する者が平成20年3月31日までの間に当該プレジャーボートを琵琶湖において航行させる場合には、同条の規定は、適用しない。
3  滋賀県特別職の職員の給与等に関する条例の一部を次のように改正する。
 第1条第39号の4の次に次の1号を加える。
 (39)の5 滋賀県琵琶湖レジャー利用適正化審議会の委員
 第1条第49号の5の次に次の1号を加える。
 (49)の6 琵琶湖レジャー利用監視員


 付帯決議
 知事は、この条例の施行後3年を目途に、この間に得られた科学的知見、琵琶湖におけるレジャー利用に伴う環境への負荷を更に低減するための新たな方策の有無等を踏まえ、必要な見直し等の措置を講じるものとする。
 また、基本計画の策定にあたっては、議会での審議の内容を十分に考慮に入れたものとする。


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