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国と地方公共団体の事務配分等の調整に関する法律案要綱(試案)
平成13年3月 兵庫県地方分権推進懇話会
第一 目的
この法律は、地方公共団体の事務並びに組織及び運営に係る法律又は政令の制定改廃に関して、地方自治の本旨に基づき、国と地方公共団体との適切な役割分担を踏まえた事務配分並びに地方公共団体の組織及び運営に関する自主性及び自立性の確保に関する調整を行うための基本原則並びに必要な体制及び手続を定めることにより、地方分権のより一層の推進を図ることを目的とする。
第二 国と地方公共団体の事務配分等に関する基本原則
国と地方公共団体の事務配分等に関する基本原則(以下「基本原則」という。)は、次のとおりである。
1 国と地方公共団体は対等であり、かつ、相互に協力する関係にある。
2 地方公共団体は、住民に身近な行政は住民に身近な地方公共団体において処理するとの観点から、地域における行政の自主的かつ総合的な実施の役割を広く担う。
3 国は、次に掲げる事務その他の国が本来果たすべき役割を重点的に担う。
(1) 国際社会における国家としての存立にかかわる事務
(2) 全国的に統一して定めることが望ましい国民の諸活動に関する基本的な準則に関する事務
(3) 全国的に統一して定めることが望ましい地方自治に関する基本的な準則に関する事務
(4) 全国的な規模で又は全国的な視点に立って行わなければならない施策及び事業の実施
4 国は、地方公共団体の組織及び運営に関する制度の策定及び施策の実施に当たって、地方公共団体の自主性及び自立性を阻害してはならない。
第三 委員会の設置等
(設置)
1 内閣の所轄の下に、国と地方公共団体の事務配分等に関する調整委員会(以下「委員会」という。)を置く。
【注】議員提出の法案及び内閣提出の法案のいずれも調査審議の対象とするためには、委員会を国会に置き、国会審議の手続に組み込むことが最も簡明である。しかし、国会に委員会を置いた場合、内閣提出の法律案を閣議前に調査審議すること、政令案に対する調査審議を行うことが難しい。
したがって、法令の制定・改廃に際して、地方自治の本旨に即して専門的な立場から調査審議する委員会の組織上の位置付けについては、「人事院類似の独立行政機関」として内閣に設置するか「法制局類似の機関」として国会(衆参両院)と内閣にそれぞれ設置するかのいずれかの方法が想定される。
これらのうち、議員提出法案と比較して、地方事務に関する詳細な規定が設けられる可能性が高い内閣提出法案・政令案に対する調査審議を重視し、また、委員会の一元的な調査審議を担保する趣旨からは、内閣単独設置案を基本として検討されるべきである。
このように委員会を内閣に置く場合、内閣に属する機関が国会に意見を申し出ることは、一般的には立法府と行政府の分立を乱すことになることから、人事院類似の高度の専門性と独立性を備えた機関として委員会を位置付ける必要がある。(本要綱案は、委員会を、国家行政組織法や内閣府設置法に基づく国の行政機関[いわゆる3条機関]若しくは審議会等[8条機関]としてではなく、内閣法第12条第4項に基づく機関として位置付けようとするものである。)
なお、国会と内閣のそれぞれに設置する場合、所掌事務が法制局のように専門的・技術的な事務に特化されていない委員会を複数設置することの必要性の論証に難しい面があるが、今後、いわゆる議員立法の重要性が増すことを勘案するならば、内閣と国会(衆参両院)に複数設置する案も選択肢の一つとして検討されるべきである。
(所掌事務)
1 委員会は、地方自治の本旨及び基本原則に照らして必要があると認めるときは、次に掲げる法律案若しくは政令案又は法律若しくは政令について調査審議し、その結果に基 づいて、国会、内閣並びに内閣総理大臣及び各省大臣に対して勧告し、又は意見を申し出る。
(1) 新たに地方公共団体の事務を創設し、又はこれを変更しようとする法律案又は政令案
(2) 地方公共団体の組織及び運営に影響を及ぼし、又は及ぼすおそれがある法律案又は政令案
(3) 地方公共団体の事務に関する法律又は政令
(4) 地方公共団体の組織及び運営に関する法律又は政令
【注1】「地方公共団体の組織及び運営に関する法律又は政令」とは、地方公共団体の自主的・自律的な組織権に関する事柄(必置規制等)や地方税制・地方税財源など「団体自治」に関する事項、及び住民投票制度やイニシアチブ、レファレンダム等の手続など「住民自治」に関する事項、市町村合併に関する事項を含む法律又は政令をいう。
【注2】法令案の基礎となっている政策選択の是非や税財源の配分等については、特に必要があれば(政策選択等の結果、国と地方公共団体の基本的な役割分担にかかわる変更が生じ、あるいは地方公共団体に重大な影響を与える新たな事務や負担を課すこととなる場合など)意見を付記することはあり得るが、基本的には、委員会による調査審議の対象としない。
また、地方公共団体の事務に関するすべての新規法令案について調査審議し、意見を申し出ることは必要ではなく、現実的ではないことから、委員会は、各省大臣等から事前に説明を受けた法令案のうち、全国的な影響を及ぼす重要な制度の創設や改正等について、必要に応じて調査審議し、意見を申し出れば足りることとするのが妥当である。
第四 調査審議等の流れ
(法令の制定等に係る内閣総理大臣等による情報提供等)
1 内閣総理大臣[内閣府の長]及び各省大臣は、新たに地方公共団体の事務を創設し、若しくはこれを変更しようとする法律若しくは政令又は地方公共団体の組織及び運営に影響を及ぼし、若しくは及ぼすおそれがある法律若しくは政令の制定又は改廃に係る閣議を求めようとする場合は、あらかじめ十分な時間的余裕をもって、その旨を委員会に通知するとともに、その内容及び理由を説明しなければならない。
2 新たに地方公共団体の事務を創設し、若しくはこれを変更しようとする法律又は地方公共団体の組織及び運営に影響を及ぼし、若しくは及ぼすおそれがある法律に係る議案を発議しようとする国会議員は、あらかじめ十分な時間的余裕をもって、委員会に必要な情報を提供するよう努めるものとする。
(法令案に係る内閣総理大臣等への勧告等)
1 委員会は、法律案又は政令案のうち、必要と認めるものについて調査審議し、その結果に基づいて、内閣総理大臣又は各省大臣に対して勧告することができる。
2 内閣総理大臣及び各省大臣は、前項の勧告があった場合は、これを尊重して必要な措置を講ずるとともに、理由を付してその結果を委員会に通知しなければならない。
3 委員会は、前項の措置に関して、内閣に対して勧告することができる。
4 内閣は、前項の勧告があった場合は、これを尊重して必要な措置を講ずるとともに、理由を付してその結果を委員会に通知しなければならない。
5 内閣は、前項の措置の結果を当該勧告と併せて国会に報告しなければならない。
(法律の制定等に係る国会への意見申出等)
1 委員会は、国会に対して、法律の制定又は改廃に係る必要な情報の提供を求めることができる。
2 委員会は、国会が新たに地方公共団体の事務を創設し、若しくはこれを変更しようとする法律又は地方公共団体の組織及び運営に影響を及ぼし、若しくは及ぼすおそれがある法律の制定又は改廃に関する審議を行う場合は、国会に対して意見を申し出ることができる。
【注】「国会が…審議を行う場合」には、内閣提出に係る法律案を修正しようとする場合を含む。
3 国会は、地方公共団体の事務を創設し、若しくはこれを変更しようとする法律又は地方公共団体の組織及び運営に影響を及ぼし、若しくは及ぼすおそれがある法律の制定又は改廃に関して、委員会の意見を求めることができる。
(既存の法令に係る内閣総理大臣等への勧告等及び国会への意見申出)
1 委員会は、法律若しくは政令又はその解釈若しくは運用が地方自治の本旨及び基本原則に反していると認める場合は、内閣総理大臣若しくは各省大臣又は内閣に対して是正又は改善の措置を講ずるよう勧告することができる。
2 内閣総理大臣及び各省大臣並びに内閣は、前項の勧告があった場合は、これを尊重して必要な措置を講ずるとともに、理由を付してその結果を委員会に通知しなければならない。
3 委員会は、法律が地方自治の本旨及び基本原則に反していると認める場合は、国会に対して意見を申し出ることができる。
(国会の責務)
1 国会は、委員会から、法律の制定又は改廃に係る必要な情報の提供を求められた場合は、これに応ずるよう努めるものとする。
2 国会は、法律案の審議に当たって、委員会の意見に十分配慮するよう努めるものとする。
【注】本法をもって、国権の最高機関たる国会の立法権の行使を制約することはできないことから、ここでは対応義務及び尊重義務(努力義務)を規定するにとどめざるを得ない。
しかし、国会が制定する法律のなかで自らの義務を規定することは、将来の立法活動に対する自己抑制ないしは自己拘束の意味があると考えられる。したがって、国会は、本条の立法趣旨に照らして、委員会からの情報提供の求めに誠実に対応し、その意見を尊重すべき法的責務を負うものと解するべきである。
第五 委員会の組織等
(組織)
1 委員会は、委員7人をもって組織する。
(委員)
1 委員は、優れた識見を有する者のうちから、両議院の同意を得て、内閣が任命する。
2 前項の場合において、国会の閉会又は衆議院の解散のために両議院の同意を得ることができないときは、内閣は、同項の規定にかかわらず、同項に定める資格を有する者のうちから、委員を任命することができる。
3 前項の場合において、任命後最初の国会で両議院の事後の承認を得なければならない。この場合において、両議院の事後の承認が得られないときは、内閣は、直ちにその委員を罷免しなければならない。
4 委員の任期は、4年とする。ただし、補欠の委員は、前任者の残任期間在任する。
5 内閣は、委員が後見開始、保佐開始若しくは補助開始の審判若しくは破産の宣告を受け、又は禁錮以上の刑に処せられたときは、その委員を罷免しなければならない。
6 内閣は、委員が心身の故障のため職務の執行ができないと認めるとき、又は委員に職務上の義務違反その他委員たるに適しない非行があると認めるときは、両議員の同意を得て、その委員を罷免することができる。
7 委員は、職務上知ることができた秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も同様とする。
8 前項の規定に違反して秘密を漏らした者は、1年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。
9 委員は、非常勤とする。
(委員長)
1 委員会に、委員長を置き、委員の互選によりこれを定める。
2 委員長は、会務を総理し、委員会を代表する。
3 委員長に事故があるときは、あらかじめその指名する委員が、その職務を代理する。
(資料の提出その他の協力等)
1 委員会は、その所掌事務を遂行するため必要があると認めるときは、国の行政機関及び地方公共団体の長に対して、資料の提供、意見の開陳、説明その他の必要な協力を求めることができる。
2 委員会は、その所掌事務を遂行するため特に必要があると認めるときは、国の行政機関及び地方公共団体の業務の運営状況を調査し、又は委員にこれを調査させることができる。
3 委員会は、その所掌事務を遂行するため特に必要があると認めるときは、第1項に規定する者以外の者に対しても、必要な協力を依頼することができる。
(事務局)
1 委員会の事務を処理させるために、委員会に事務局を置く。
2 事務局に、事務局長のほか、所要の職員を置く。
3 事務局長は、委員長の命を受けて、局務を掌理する。
(政令への委任)
1 この法律に定めるもののほか、委員会に関し必要な事項は、政令で定める。
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