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 大阪市における公文書公開制度のあり方について(答申)
    
平成12年 7月27日   大阪市公文書公開審査会


1 条例の名称
 条例の名称は、「大阪市情報公開条例」とすべきである。
 
[説 明]
 現行条例の名称は、その対象が紙を中心とした媒体に限られていることから、「大阪市公文書公開条例」としているが、一般的に「公文書公開」という用語よりも「情報公開」という用語の方が広く用いられ、市民にとっても分かりやすく親しみやすいものである。また、今後は後述のように、紙を中心とした媒体に限らず電磁的な媒体に記録された情報も公開の対象に含めることや、情報提供制度をより充実したものにしていくという観点からも、条例の名称を「情報公開条例」とするのが適当である。

2 条例の理念・目的
 1 条例に前文を設け、「地方自治の本旨」や市民の「知る権利」など条例の基本的な理念を謳うことが適当である。
 2 条例の基本的な理念を実現するために、市政を信託した市民に対し、大阪市が「説明責務」を全うすべきことを条例の目的規定に掲げることが適当である。
 
[説 明]
 1)  現行条例第1条は、市民の市政参加の推進と市政に対する市民の理解と信頼の確保を図ることを目的としているが、その背景にある情報公開制度に対する基本的な理念は明確な形では示されていない。
   しかし、現行条例制定後12年が経過し、この間の社会経済状況の変化に伴い、地方自治の基盤となる情報公開制度に対する市民の期待と関心は、さらに高まってきている。
そこで、この情報公開制度の基本的な理念を明らかにし、適正かつ円滑な運用を図るため、条例に前文を設け、その中でこの制度が憲法の保障する地方自治の本旨、すなわち住民が自らの意思と責任において政治や行政を担うといった住民自治の精神に由来するものであることを明らかにすることが必要である。
 2) また、「知る権利」については、法的に成熟した概念であるか、なお疑義が残るものの、「知る権利」という言葉は、今日では広く一般的に用いられており、市政モニターによるアンケート調査結果(以下「アンケート調査結果」という。)において条例への明記を望む意見が53.4パーセントに及んでいることも考慮すれば、市民にとって分かりやすく利用しやすい情報公開制度の推進を図るため、上記の地方自治の本旨と併せて条例の前文に盛り込むことが望ましい。
 3) このような基本的な理念を実現するためには、市政を信託した市民に対し、大阪市がその諸活動の状況を具体的に明らかにし、これを説明する責務(以下「説明責務」という。)を全うすべきことが重要であることから、現行条例に掲げられた目的を説明責務の観点からもとらえ、新たに目的規定の内容を整理することが適当である。

3 実施機関
 
(1) 出資等法人
  1 実施機関に対して、次の趣旨の責務を課すことが適当である。
   ア 大阪市が資本金等を出資し、又は職員の派遣等を行っている法人であって、大阪市と密接な関係にあるものとして市長が定めるもの(以下「出資等法人」という。)の情報を積極的に収集し、公開していくよう努めること
   イ 出資等法人の情報公開がより一層推進されるよう、出資等法人に対し必要 な指導等を行うこと
  2 出資等法人のうち、大阪市が資本金等の2分の1以上を出資している法人については、当該法人の設立目的、独立性等を損わない範囲で、当該法人自らがこの条例の趣旨にのっとり、情報公開に努めるべき旨の責務を課すことが適当である。
  3 地方三公社については、地方公共団体の条例の適用が可能とされているので、情報公開制度の対象とすることが適当であるが、不服申立てや適用除外事項等大阪市の実施機関と同内容の規定の適用が相当かどうかなど、なお検討すべき課題が多いので、まず上記2により情報公開の責務を課し、公社の情報公開制度のあり方については、引き続き検討することが適当である。
 
[説 明]
 1) 出資等法人については、大阪市と密接な関係にあるが、民法、商法等の個別の法律による多様な設立形態があり、また、大阪市とは全く別個の独立した法人格を有している。
   このような大阪市とは別人格の独立した法人に対して、大阪市の内部機関と同様に条例を直接適用することによって情報公開の義務を課すことは、それぞれの根拠法で認められた法人の設立趣旨を損ない、当該法人の事業運営における自主性、独立性を制約することにもなりかねないため、出資等法人を条例上の実施機関とすることは、一般的には、地方自治法で定められた条例制定権の範囲を超えるおそれがあり、現行法上困難である。
 2) しかしながら、出資等法人は、大阪市の事務事業の一部を補完又は分担し、市政の重要な一翼を担うとともに、大阪市から財政的支援や人的支援を受けているものが多いこと、また、アンケート調査結果では出資等法人の情報公開が推進されるよう市として必要な指導を行う方がよいとの意見が69.0パーセントにものぼることを考慮すれば、出資等法人の設立の趣旨や自律性に配慮しつつも、法律上可能な範囲内で、これまで以上に出資等法人の情報公開を推進していく必要がある。
 3) また、大阪市の説明責務を全うするという観点からすれば、実施機関としても、その監督・管理する出資等法人の情報をできるだけ公開すべき責務を有しているといえる。
   そこで、実施機関に対して、(ア) 出資等法人の情報を積極的に収集し、 公開していくよう努めること(「14 情報提供制度の充実」の項を参照)、(イ) 出資等法人の情報公開が一層推進されるよう出資等法人に対し必要な指導等を行うこと、の2点について責務を課すこととし、その旨の規定を条例に設けることが適当である。
 4) 次に、出資等法人のうち、その業務が大阪市の事務事業と特に密接な関係にあるものとして市長が指定するもの(以下「指定法人」という。)については、実施機関に対する責務だけでは十分とはいえず、指定法人自らが積極的にその保有する情報を公開していくことが必要と考えられるので、その旨の責務規定を条例に設けることが適当である。
   このような条例上の責務を課す指定法人の範囲については、地方自治法第221条第3項が、地方公共団体が資本金、基本金その他これらに準ずるものの2分の1以上を出資している法人に対して、予算執行に関する調査権限を市長に付与していることを考慮して、大阪市の出資比率が2分の1以上である法人を原則として対象とすることが適当である。
   なお、大阪市の出資比率が2分の1以上である法人であっても、株式会社については、商法等で株主や債権者の権利利益が保護されていることに配慮し、その設立形態にふさわしい情報公開のあり方を検討する必要がある。
 5) 指定法人は、その設立目的、独立性等を損わない範囲で、この条例の趣旨にのっとり、自らの情報公開の仕組みを、各指定法人の内部管理規程(規約、要綱等)で定め、市民等からの公開の申出に応じるとともに、必要な情報提供を行うなど、その保有する情報の公開に努めるものとする。一方、大阪市は、指定法人の情報公開及び文書管理のガイドラインとなるべきモデル要綱を作成し、指導するものとする。
   また、各指定法人の保有する情報の公開申出については、市民等の便宜を考慮して、大阪市において一元的に受け付け、法人間の取扱いに差異が生じないようにすることが適当である。
   さらに、市民等からの公開申出に対する指定法人の公開しない旨の判断(通知)については、行政処分に該当しないので、行政不服審査法に基づく不服申立てを行うことはできないが、これに代わるべき何らかの救済方法を大阪市側で検討しておくことが望ましい。
 6) 一方、特別法に基づくいわゆる地方三公社(大阪市土地開発公社、大阪市道路公社及び大阪市住宅供給公社)については、市行政を担う行政機関に準ずるものであり、地方公共団体の条例の適用が可能とされているので、行政の説明責務を果たす観点や情報公開制度のより一層の充実のため、情報公開制度の対象とすることが適当である。
 しかしながら、不服申立てや適用除外事項など大阪市の実施機関と同内容の規定の適用が相当かどうかの検討や情報公開制度導入に向けた公社内での準備のほか、国の特殊法人等の情報公開制度との均衡も踏まえる必要がある。そのため、三公社の情報公開制度の導入を含め、すべての制度改正を一挙に行うこととすると、なお相当の期間を要することにもなるので、まず公社について指定法人に含めて早急に制度改正を行うこととし、公社の情報公開制度のあり方については、引き続き検討することが適当である。
 
(2) 議 会
 議会については、その独立性、自主性が十分尊重されるべきであり、議会自身の自主的な判断により、情報公開のより一層の推進が図られることを期待する。
 
[説 明]
 1) 大阪市会については、自らの努力により本会議や委員会の議事録の公開、本会議の傍聴や委員会のモニター放映など、市民に対する市会情報の積極的な提供が既に行われているところである。
 2) 議会は、憲法及び地方自治法上、住民から選挙により選出された議員で構成される独立した議決機関であって、その独立性、自主性が十分尊重されるべきであり、議会自身の自主的な判断により、情報公開のより一層の推進が図られることを期待する。

4 対象文書の範囲
 
(1) 組織共用文書
 決裁又は供覧の手続が終了した文書に限らず、実施機関の職員が組織的に用いるものとして、当該実施機関が保有しているものは、公開請求の対象とすべきである。
 
[説 明]
 1) 現行条例第2条第2号では、決裁又は供覧の手続が終了せず、又はこれらの手続を経ていない文書は、公開請求の対象とされていないが、このような文書についても、市民に対する説明責務を全うし、市民による行政への参加を促進する観点から、公開すべきものがあると考えられる。
   そこで、対象文書を決裁又は供覧の手続が終了したものに限定せず、実施機関の職員が組織的に用いるものとして、当該実施機関が保有しているもの(以下「組織共用文書」という。)を条例の対象とし、対象文書の範囲を拡大することが適当である。
 2) 組織共用文書の範囲については、例えば、職員が起案の下書きをしている段階など、職員の個人的な検討段階にとどまるメモ書や資料等は、これに該当しないと考えられる。
   しかし、大阪市の各部局がその所管業務に関して時点ごとの修正を加えながら管理・保管しているような業務上の統計資料や事務事業執行上の基本的な考え方をまとめた参考資料など、課等の組織単位ごとに整理保管され、当該組織の職員の利用に供されている文書は、組織としての共用文書の実質を備えたものといえるので、組織共用文書に該当すると考えられる。
 
(2) 電磁的記録
  1 電磁的記録についても、公開請求の対象とすべきである。
  2 電磁的記録の公開方法等については、技術的な条件や大阪市における情報化の進捗状況等を踏まえ、実施機関において検討される必要がある。
 
[説 明]
 1) 公文書公開制度は、実施機関が保有する情報を処理・加工することなく、あるがままの状態で請求者に公開する制度であるから、対象となる情報が一定の媒体に記録されていることが必要であるところ、現行条例第2条第2号は、「文書、図画、写真及びスライド(これらを撮影したマイクロフィルムを含む。)」として、対象となる情報を紙を中心とした媒体に限定している。
 2) しかしながら、OA化の進展により大阪市の有する行政情報が大量に磁気テープ、フロッピーディスク等の電磁的な媒体に蓄積されている現状にかんがみれば、公開請求の対象となる文書の媒体の種類を紙を中心とした媒体に限定する必要性は乏しく、広く電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られた記録をいう。以下同じ。)についても、組織共用文書に該当するものは、公開請求の対象とすることが適当である。
 3) この場合、電磁的記録のディスプレイの視聴や電磁的記録媒体への複写による公開については、請求者の機器の保有の有無、公開窓口における多種多様な記録媒体に対応した機器の整備、部分公開する場合のデータそのものの書換えなど、紙とは異なる制約がある。
   したがって、当面は全部公開する場合で、請求者が希望し、かつ、実施機関の現有機器で容易に対応できるときに限定せざるを得ず、それ以外の場合については、技術的な条件や機器の普及・整備状況等を踏まえ、実施機関において必要な検討を行い、円滑な制度の実施が図られるように努めるべきである。

5 請求権者の範囲
 請求権者の範囲を拡げ、「何人も」とすべきである。
 
[説 明]
 1) 現行条例第5条は、請求権者の範囲について、大阪市の区域内に住所を有する者を中心に、市内に在勤、在学する者や利害関係者などいわば「広義の市民」としているが、市内に在住等していない者でも、利害関係を有しておれば請求が可能であり、また、そうでない場合でも、条例第16条の規定による公文書の任意的公開の申出は可能であるから、実質的には「何人も」と変わらない状況である。
 2) 大阪市は関西圏の中枢都市であるだけでなく、国際集客都市をまちづくりの目標として、既にオリンピック招致の推進をはじめ国の内外に積極的に情報を発信しているところである。
 このような大阪市の行政活動の広域化、国際化に伴い、大阪市の諸活動に対する内外の関心は従来にも増して高まってきており、いまや市政に関心と関わりを有する者は「広義の市民」に限定されなくなってきている。
 また、アンケート調査結果でも、請求できる者は現行のままでよいとの意見が35.4パーセントであるのに対し、住んでいる場所を問わず誰でも請求できるようにした方がよいとの意見は51.7パーセントに及んでいる。
 3) 以上の点を考慮すれば、より一層開かれた市政を推進していくため、請求権者の範囲を拡げ、「何人も」とすることが適当である。

6 適用除外事項
 
(1) 公開・非公開の枠組み
 原則公開の趣旨を徹底するため、適用除外事項に該当する情報が記録されている場合を除き、「公開しなければならない。」との規定に改めるべきである。
 
[説 明]
 1) 公文書公開制度は、請求者に対して、公開請求の理由や利用目的を問わず、公文書の公開を請求することができる権利を与える制度であり、個人又は法人等の正当な権利利益や公共の利益・安全など公開することの利益よりも公開されないことの利益が優先する事項(以下「適用除外事項」という。)が記録されている場合を除き、実施機関が公開すべき義務を有することを前提としている。
 2) そこで、この度の制度見直しに当たっては、公文書公開制度の中核となる 原則公開の考え方をより明確に、分かりやすくするため、現行条例第6条 本文の規定を、適用除外事項に該当する情報が記録されている場合を除き、「公開しなければならない。」との表現に改め、実施機関の公開義務を条文上明らかにすべきである。
 
(2) 法令秘情報、機関委任事務情報及び国等協力関係情報
  1 機関委任事務情報及び国等協力関係情報の規定については、削除することが適当である。
  2 法令秘情報の規定については、「法令若しくは条例の規定により、又は法律若しくはこれに基づく政令の規定による明示の指示により、公開することができないと認められる情報」との趣旨に変更することが適当である。
 
[説 明]
 1) 地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律(平成11年法律第87号。以下「地方分権一括法」という。)が平成12年4月1日に施行されたことに伴い、機関委任事務が廃止されたので、現行条例第6条第5号の機関委任事務情報の規定については、削除すべきである。
 2) また、現行条例第6条第6号の国等協力関係情報の規定は、大阪市と国等とがお互いに協力して推進していく事務事業に関して相互の協力関係又は信頼関係を確保するために定められたものではあるが、地方分権の推進の観点からは、国等との協力関係情報のみを特別の適用除外事項として存置する積極的な理由はなく、後述するように、法令秘情報や事務事業執行情報など他の適用除外事項において公開・非公開の判断をすれば足りると考えられるので、削除することが適当である。
 3) 次に、新たな法令秘情報の規定のあり方については、現行の法令秘情報の規定の内容に加えて、地方分権一括法の施行により新たに設けられた法定受託事務に関して、各大臣や都道府県知事等から公開してはならない旨の明示の指示(法律又はこれに基づく政令の規定に直接根拠を有する場合に限る。)があった場合は、当該指示は法的な拘束力を有し、実施機関としては法律上これに従う義務を有すると解されるので、法令で公開することができないとされている情報と同様に、法令秘情報として規定することが適当である。
 また、電磁的記録を新たに対象文書とすることに伴い、大阪市が保有するプログラムやデータベース等の著作物の公開と著作者の有する公表権、複製権等の権利との関係が問題となるので、地方公共団体の情報公開条例との調整規定が新設された著作権法(昭和45年法律第48号)の規定の趣旨に則して適正な運用が図られるように留意すべきである。
 
(3) 個人情報
  1 個人情報の規定の仕方は、現行条例どおり「個人識別型」とし、例外的に公開すべき情報をただし書に列記する方式とすることが適当である。
  2 公務員の職務の遂行に係る情報については、説明責務の観点からこれを明らかにする意義が大きいので、職及び職務遂行の内容を公開する旨の規定を設けることが適当である。
  3 個人のプライバシー保護に万全を期するため、特定の個人を識別することはできないが、公にすることにより、なお個人の権利利益を害するおそれがある情報を、新たに非公開とすべき個人情報に追加することが適当である。
 
[説 明]
 1) 個人情報の規定の仕方については、プライバシーの概念を基準とする方法もあるが、今日においてもプライバシーの概念を構成する具体的な内容は、法的にも社会通念上も必ずしも明らかではなく、適用除外事項の範囲を画する基準としては明確さを欠き、適切とはいい難い。
 そこで、プライバシーを中心とする個人の正当な権利利益を最大限に保護するため、個人に関する情報で、特定の個人が識別され、又は識別され得るものを原則として非公開とした上で、公開すべき情報をただし書で規定する現行条例第6条第2号の「個人識別型」の規定方式が適当である。
 2) しかしながら、「個人識別型」の規定方式による場合、非公開となる範囲が広くなりすぎないようにするため、例えば、「法令の規定により又は慣行として公にされ、又は公にすることが予定されている情報」や「人の生命、身体、健康、生活又は財産を保護するため、公にすることが必要であると認められる情報」など、公開しても個人のプライバシーを侵害するおそれのないものや、おそれがあるとしても社会通念上受忍すべき範囲内にとどまると考えられるものは、ただし書に明記し、公開していくことが適当である。
 3) 特に、公務員の職務の遂行に係る情報については、行政事務に関する情報としてその職務行為と密接不可分の関係にあり、説明責務の観点からこれを明らかにする意義は大きい。
 そこで、公務員の職務の遂行に係る情報のうち、当該公務員の職及び職務遂行の内容に係る部分を公開する旨をただし書に明記することが適当である。
 なお、公務員の氏名については、私生活においても個人を識別する基本的な情報として用いられているものであり、当該公務員の私生活に影響を及ぼすことがあり得るので、当該公務員の氏名が慣行として公にされ、又は公にすることが予定されているか否かを個々に検討して公開・非公開の判断をする必要がある。この場合、出張等職務遂行上の情報に係る大阪市職員の氏名については、職階に関係なく原則として公開する慣行が定着しているので、特段の事由がない限り公開することが適当である。一方、国や他の地方公共団体の職員の氏名の取扱いについては、当該団体の職務遂行上の情報であるので、当該団体において慣行として公にされ、又は公にすることが予定されているか否かによって判断する必要があると考えられる。
 4) カルテ、反省文など個人の人格と密接に関連する情報や、未発表の研究論文等のように著作者の権利利益を侵害するおそれのある情報など、特定の個人を識別することはできないが、公にすることにより、なお個人の権利利益を害するおそれがあるような情報については、個人の識別可能性を必要条件とする現行条例の規定では解釈により判断せざるを得なかったが、限定列挙であるべき適用除外事項を解釈に委ねることは適当でないので、個人識別性のある部分を除いて公開しても、人格権、財産権その他個人の正当な権利利益を害するおそれのある上記の情報については、新たに非公開とすべき個人情報に追加することが適当である。
 
(4) 法人等情報
 現行条例の規定の趣旨を基本的に維持した上で、ただし書ア、イを一つにして、人の生命、身体、健康、生活又は財産を保護するため、公にすることが必要であると認められる情報を例外的に公開する旨の規定に整備することが適当である。
 
[説 明]
 1) 法人等又は事業を営む個人の事業活動は、社会的にも尊重されるべきであり、自由で公正な競争秩序の維持や経済の健全な発展に資するため、法人等又は事業を営む個人の権利、競争上の地位その他正当な利益を保護すべき必要性は、本件条例の制定時と現在とで異なるものではない。
 したがって、現行条例第6条第3号の法人等情報の規定の趣旨は、基本的に維持されるべきである。
 2) しかしながら、例外的に公開すべき情報を掲げた現行ただし書の規定は、「人の生命、身体又は健康」に関する情報と「人の財産、生活」に関する情報とに分けて規定し、前者は「害するおそれ」で足るとしているにもかかわらず、後者については「重大な影響を及ぼす違法又は不当な事業活動」であることまで要求している。
 しかし、良好で快適な生活環境の維持や安全で良質な消費生活、あるいは個人の財産権の保護も重要であり、あえて人の生命・身体の保護と要件を異にさせる理由がないので、現行ただし書のアとイを一つにまとめ、「人の生命、身体、健康、生活又は財産を保護するため、公にすることが必要であると認められる情報」との趣旨のただし書となるよう規定を整備することが適当である。
 
(5) 任意提供情報
 任意提供情報の規定については、情報提供者との「協力関係又は信頼関係を損なう」という要件をより明確かつ合理的なものとするため、公にしないとの条件が当該情報の性質、当時の状況等に照らして合理的であると認められるものに限定するとともに、公益上の必要により例外的に公開することができるように規定を整備することが適当である。
 
[説 明]
 1) 個人又は法人等は、法的に提出が義務付けられていない情報については、それを公開するか否か、また、いかなる条件で公開させるかについて、自らの判断で決定することができるのが原則であり、非公開との条件の下に任意に提出した情報の非公開取扱いに対する期待と信頼は、法的な保護に値するものである。
 2) 上記の趣旨から、現行条例第6条第4号は、個人又は法人等から公開しないことを条件として任意に提供された情報を適用除外事項と位置付けているのであるが、その要件については「当該個人又は法人等との協力関係又は信頼関係を損なうと認められるもの」として信頼関係の点に限り規定し、公にしないとの「条件」の合理性については特に要件を定めていない。
 しかしながら、情報提供者との信頼関係を損なうか否かという要件は必ずしも明確ではなく、拡大解釈により非公開の範囲が広がるおそれがある。
 そこで、原則公開の趣旨を徹底するという観点から、非公開の要件をより明確かつ合理的なものとするため、公にしないとの条件の下に任意に提供された情報が、当該情報の性質上、個人又は法人等における通例として公にしないこととされているものである場合など、当該条件を付することが当時の状況等に照らして合理的であると認められるものに限定することが適当である。
 3) また、任意に提供された情報が人の生命、身体、健康、生活又は財産を保護するため、公にすることが必要であると認められる場合には、情報提供者の有する公開されない利益よりも、公開する利益が優先すると考えられるので、例外的に公開することができるよう規定を整備することが適当である。
 
(6) 審議・検討・協議情報(意思形成過程情報)
 意思形成過程情報の規定については、対象となる情報を「審議、検討又は協議に関する情報」に絞り込むとともに、支障の内容を「不当な」ものに限るなど、より具体的かつ明確に規定することが適当である。
 
[説 明]
 1) 現行条例第6条第7号の規定は、大阪市の機関内部や行政機関相互の調査、研究、協議等の意思形成過程にある情報は、行政としての最終的な意思決定がされる前の未成熟なものであるため、外部からの干渉等により率直な意見の交換や意思決定の中立性が損なわれたり、投機等により一部の者に利益を与えたり、市民の間に無用の誤解や混乱を生じさせないために置かれたものである。
 2) しかしながら、市政に関する意思決定がどのようなプロセスを経て行われているかについての市民の関心は高く、大阪市としても説明責務を全うするとの観点からは、決定後の情報を公開するだけでは不十分であり、むしろ、最終決定に至る前の中間段階の情報についても、公開していくことが必要である場合が少なくないと思われる。
 さらに、現行条例の「意思形成過程に関する情報」という表現は、最終的な意思決定に至る連続した行政過程のどの部分を意味するのか明確でないことから、非公開の範囲が拡大解釈されるおそれがあることも必ずしも否定できない。
 3) そこで、現行条例第6条第7号の表現について、「調査、研究、協議等の意思形成過程に関する情報」とあるのを、「審議、検討又は協議に関する情報」として、対象とされる情報の範囲を絞り込むとともに、公開することにより生じる支障の内容を、例えば、「率直な意見の交換若しくは意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれ」、「不当に市民の間に混乱を生じさせるおそれ」、「特定の者に不当に利益を与え若しくは不利益を及ぼすおそれ」など「不当に」という要件を付した上で、類型化し、具体的かつ明確に示すことが適当である。
 
(7) 事務事業執行情報
 事務事業執行情報の規定については、公にすることによりその適正な遂行に支障を及ぼすおそれがある事務事業を可能な範囲で類型化し、当該事務事業の性質に応じた支障を具体的に明記するなど、要件がより明確となるよう規定を整備することが適当である。
 
[説 明]
 1) 現行条例第6条第8号の規定は、大阪市が行う事務事業の目的を達成し、公正、円滑な執行を確保するために定められたものであり、その趣旨は基本的に維持されるべきである。しかしながら、本号の適用要件である「事務事業の目的を損ない、又はこれらの事務事業の公正若しくは円滑な執行に支障が生じる」との表現が概括的、抽象的であるため、解釈によっては、非公開の範囲が広くなりすぎるおそれがあり、実際の運用としても、非公開決定の理由として本号が適用される場合がかなり多いのも事実である。
 2) そこで、本号が適用される場合がより明確となるよう、公にすることによりその適正な遂行に支障を及ぼすおそれがある事務事業を可能な範囲で類型化し、当該事務事業の性質に応じた支障を具体的に明記するなど、要件を整備することが適当である。
 3) 類型化が可能な事務事業としては、次に例示するものが考えられるが、その他の事務事業についても、その性質上適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるものについては、対象となるものである。
 ア 監査、検査、取締り又は試験に係る事務に関し、正確な事実の把握を困難にするおそれ又は違法若しくは不当な行為を容易にし、若しくはその発見を困難にするおそれ
 イ 契約、交渉又は争訟に係る事務に関し、大阪市又は国等の財産上の利益又は当事者としての地位を不当に害するおそれ
 ウ 調査研究に係る事務に関し、その公正かつ能率的な遂行を不当に阻害するおそれ
 エ 人事管理に係る事務に関し、公正かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼすおそれ
 オ 大阪市が経営する企業に係る事業に関し、その企業経営上の正当な利益を害するおそれ
 
(8) 公共の安全、秩序維持に関する情報
 公共の安全、秩序維持に関する情報の規定については、要件をより明確にするため、「人の生命、身体、財産又は社会的な地位の保護、犯罪の予防、犯罪の捜査その他の公共の安全と秩序の維持に支障が生じると認められる情報」との趣旨に変更することが適当である。
 
[説 明]
 1) 現行条例第6条第9号の規定は、人の生命、身体、財産等の保護その他公共の安全と秩序を維持するために定められたものであるが、本号が適用される要件をより明確にするため、「公共の安全と秩序の維持に支障が生じると認められる情報」の例示として挙げられている「人の生命、身体、財産等の保護」という表現を「人の生命、身体、財産又は社会的な地位の保護、犯罪の予防、犯罪の捜査その他の公共の安全と秩序の維持に支障が生じると認められる情報」との趣旨に変更することが適当である。

7 公文書の存否に関する情報
 1 公開請求に係る公文書が存在しているか否かを答えるだけで、個人又は法人等の正当な権利利益を侵害することとなるときは、当該公文書の存否を明らかにしないで、請求を拒否すること(以下「存否応答拒否」という。)ができる旨の規定を設けることが適当である。
 2 存否応答拒否の決定は、行政処分として位置付け、不服申立て等による救済の対象とするとともに、存否応答拒否の規定を適用した場合には審査会に報告するなど、その誤用・濫用を防止する措置を講ずる必要がある。
 
[説 明]
 1) 地方公共団体の事務事業においても、例えば、個人を特定してその病歴や生活保護の受給の有無に関する情報を請求された場合など、当該請求に係る公文書が存在しているか否かを答えるだけで、個人又は法人等の正当な権利利益を侵害したり、今後の事務事業に支障が生じる場合が想定される。
 2) このような請求については、個人が特定されないような形で対象文書を記載してもらうなど、窓口で行政指導を行うことは可能であるが、請求者が任意に当該指導に従わない旨を表明した場合には、それ以上の行政指導を継続できないなど、存否応答を回避する有効な手段が存在しないのが実情である。
 3) そこで、個人又は法人等の正当な権利利益を保護するため、存否応答拒否の規定を新たに条例に設け、明確な法的根拠により対応することが適当である。
 4) しかしながら、存否応答拒否の規定が安易に適用されてはならないことは当然であって、その誤用・濫用を防止するため、(ア) 存否応答拒否の決定は、非公開決定に含めて行政処分として位置付け、実施機関に必要にして十分な理由の提示を義務付けるとともに、不服がある場合は、行政不服申立てや抗告訴訟によって争うことができることとする、(イ) 存否応答拒否の規定を適用した場合には、速やかに情報公開審査会に報告するなどの措置を講ずる必要がある。

8 部分公開
 部分公開が可能な場合は部分公開を行う義務があることを明示するため、現行条例第7条の部分公開を「行うものとする」との表現を「行わなければならない」との表現に改めることが適当である。
 
[説 明]
 1) 公開請求の対象となった文書は、その一部に適用除外事項が含まれていたとしても、全体を非公開にすべきではなく、原則公開の理念から公開可能な部分は公開すべきものである。
 この趣旨を明確にするため、現行条例第7条の部分公開を「行うものとする」との表現を「行わなければならない」との表現に改め、部分公開が可能な場合は部分公開を行う義務があることを明示することが適当である。
 2) 現行条例第7条は、部分公開の要件を「当該部分を容易に、かつ、公文書の公開の請求の趣旨を損なわない程度に分離できるとき」と規定している。
 しかしながら、請求の趣旨を損なうか否かという請求者の意思に係る内容を実施機関の側で一義的に判断することは困難であるので、例えば、適用除外事項が記録されている部分を除いた部分に有意の情報が記録されているか否かという基準を採用している情報公開法の規定などを参考に、部分公開の要件がより明確となるよう条文の整備を行うことが適当である。
 3) また、氏名、生年月日等明らかに個人識別性のある部分を除いた残りの部分についても、公開請求書の記載内容その他の情報と照合することにより、個人の正当な権利利益が害される場合があり得るので、そのような場合には部分公開を行う義務が免除されるように、所要の規定整備を行うことが適当である。

9 請求及び決定の手続
 
(1) 請求方法
 請求者の利便を図るため、ファクシミリその他の通信手段による請求についても、可能な範囲で検討を進め、必要な条件整備に努めていくことが望ましい。
 
[説 明]
 1) 現行条例第8条では、窓口における請求のほか、運用により郵送による請求を認めているところであるが、請求者の利便を図るため、ファクシミリその他の通信手段による請求についても、実際に請求を受け付ける実施機関の側において、誤送や請求意思の確認等の問題や、受信設備の整備の状況その他の事務処理上の問題を勘案しつつ、今後検討を進め、必要な条件整備に努めていくことが望ましい。
 
(2) 公開決定等の期間及びその起算の基準
 公開決定等の期間は現行条例どおり14日間とし、その起算に当たっては、請求書を受理した日ではなく、請求書が到達した日を基準とすべきである。
 
[説 明]
 1) 現行条例第9条第1項は、請求書を受理した日の翌日から起算して14日以内に公開決定等をすることとしている。
 このうち、14日間の決定期間については、これを変更する特段の理由がないので、現行どおり維持すべきである。
 2) 一方、公開決定等の期間の基準となる審査義務の発生時については、大阪市行政手続条例(平成7年大阪市条例第10号)第7条が「行政庁は、申請がその事務所に到達したときは遅滞なく当該申請の審査を開始しなければならず、...」と規定し、「受理」の概念をとっていないことから、公開請求があった日の翌日から起算して14日以内に決定する旨の規定に整備すべきである。
 また、請求書の補正に要した日数は、公開決定等の期間から除かれるべき性質のものであるから、これを条文に明記しておくことが適当である。
 
(3) 著しい大量請求に係る決定期間の特例
 公開請求に係る公文書が著しく大量であるため、公開請求があった日の翌日から起算して44日以内にそのすべてについて決定を行うことにより事務の遂行に著しい支障が生ずるおそれがある場合には、当該公文書のうちの相当の部分につき当該期間内に決定し、残りの公文書については相当の期間内に決定を行えば足りる旨の規定を設けることが適当である。
 
[説 明]
 1) 現行条例第9条第4項は、やむを得ない理由により14日の期間内に決定を行うことができないときは、当該期間の満了日の翌日から起算して30日を限度として延長することができる旨規定しており、請求書を受理した日の翌日から起算して最長44日間の猶予が実施機関に与えられている。
 ところが、他都市の例では、文書件数にして数万件にも及ぶ著しく大量の公開請求があり、実施機関が期間延長を行っても、当該期間内に決定できないような事例の報告があり、大阪市においても、今後著しい大量請求が行われる可能性は否定できないところである。
 2) そして、そのような大量請求が直ちに権利濫用に該当するということはできないので、実施機関としては請求者の公文書公開請求権の十分な保障という点に留意して、速やかに対応する必要がある。
 しかしながら、著しい大量請求を処理することにより、各部局が所管する事務の遂行が著しく停滞することは避ける必要がある。
 3) そこで、公開請求に係る公文書が著しく大量であるため、公開請求があった日の翌日から起算して44日以内にそのすべてについて決定を行うことにより事務の遂行に著しい支障が生ずるおそれがある場合には、当該公文書のうちの相当の部分につき当該期間内に決定し、残りの公文書については相当の期間内に決定を行えば足りる旨の規定を条例に新設することが適当である。
 なお、決定を待つ請求者の地位を不安定にさせないため、実施機関がこの規定を適用する場合には、当初の14日の期間内に、請求者に対し、(ア) この規定を適用する旨及びその理由、(イ) 残りの公文書について公開決定等をする期限を書面により通知する必要がある。
 
(4) 公文書不存在の取扱い
 公文書の不存在を理由とする請求の拒否については、条例上行政処分として位置付け、理由の提示を義務付けるとともに、不服申立ての対象とすることが適当である。
 
[説 明]
 1) 現行条例には、公文書が存在しない場合の取扱いについての定めがなく、実施機関は、請求に係る公文書が存在しない旨の通知(以下「不存在通知」という。)を行うこととしていた。
 2) しかし、不存在通知は、事実の通知にすぎず、行政処分としての性質を有しないと解されてきたため、行政処分では必要とされる理由の提示がされていないだけでなく、請求者がその通知に不服がある場合でも、行政不服申立てを行うことができないなど、公文書公開請求権の保障という点で、十分ではない面があった。
 3) そこで、請求者の有する公文書公開請求権の十分な保障という観点から、条例上、公文書の不存在を理由とする請求の拒否を非公開決定に含めて行政処分として位置付け、公文書が存在しない理由の提示を実施機関に義務付けるとともに、これに不服のある請求者は不服申立てや抗告訴訟により当該決定を争えるように規定を整備することが適当である。
 
(5) 理由の提示
 公開請求を拒否する決定において提示される理由は、その記載自体から、請求者が非公開の理由を十分理解できるものとすべきである。
 
[説 明]
 1) 現行条例第9条第3項は、非公開又は部分公開の決定を行う場合には、決定書に「その理由を付記しなければならない」と規定している。
 大阪市においても、従前から、決定書に提示する理由は、単に根拠条項を示すだけでなく、当該条項に該当する理由が明確になるような記載に努めてきたところであるが、中には、記載が条文をそのまま引用するだけで、具体的にどのような情報がどのような理由で非公開とされているのかがわかりにくいものも散見された。
 2) しかしながら、理由の提示には、実施機関の公開・非公開の判断における恣意を抑制するという機能と、請求者に不服申立てや行政事件訴訟の提起の際の便宜を与える機能の二つの重要な機能があるので、これまで以上に実施機関が理由の提示の意義を認識し、請求者が非公開の理由をその記載自体から十分理解できるように記載の充実を図っていくべきである。

10 第三者保護に関する手続
 対象文書にその情報が記録された第三者の権利を保護するため、現行の任意的な意見聴取の機会の付与に加えて、次の手続を条例に明記することが適当である。
 1 対象文書に記録された第三者に関する情報が個人情報、法人等情報又は任意提供情報の規定の本文に該当する場合において、実施機関が当該第三者に関する情報をこれらの規定のただし書によって例外的に公開しようとするときは、原則として、当該第三者に対し意見聴取の機会を付与すること
 2 任意的、必要的を問わず、意見聴取の機会を与えられた第三者が公開に反対する意思表示をしたにもかかわらず、実施機関が公開の決定をするときは、公開の決定、その理由及び公開の実施日を当該第三者に通知するとともに、公開の決定と公開の実施との間に不服申立て等の手続を講ずるに足りる相当の期間を確保すること
 
[説 明]
 1) 対象文書に第三者に関する情報が記録されている場合、現行条例第9条第5項は、必要に応じて当該第三者の意見を聴くことができる旨を規定しているが、第三者の権利を保護するための適正な行政手続の保障という観点からは、任意的な意見聴取の機会付与に加えて、一定の要件に該当する場合には、意見聴取を義務付ける規定を設けることが必要である。
 2) そこで、対象文書に記録された第三者に関する情報が個人情報、法人等情報又は任意提供情報の規定の本文に該当する場合において、実施機関が当該第三者に関する情報をこれらの規定のただし書によって例外的に公開しようとするときは、当該第三者の権利を保護すべき必要性が高いので、公開の決定に先立ち、原則として、当該第三者に対し意見聴取の機会を与えることとする規定を設けることが適当である。
 3) また、第三者に関する情報が記録された対象文書について、任意的、必要的を問わず、当該第三者に対し意見聴取の機会を与えた場合において、当該第三者が公開に反対する意思表示をしたにもかかわらず、実施機関が公開の決定をし、対象文書を公開しようとするときは、争訟の機会の確保など第三者の正当な権利利益を保護するための措置が必要である。
 そこで、そのような場合には、実施機関は公開の決定、その理由及び公開の実施日を当該第三者に通知するとともに、公開の決定と公開の実施との間に不服申立て等の手続を講ずるに足りる相当の期間を確保する旨の規定を設けることが適当である。

11 手数料等
 1 公文書の公開に係る手数料については、現行条例どおり、無料とするのが適当である。
 2 公文書の写しの作成に要する費用については、実費の範囲内で、できる限り請求者の利用しやすい金額とすべきである。
 また、電磁的記録の写しの作成等に係る費用については、技術的な面も踏まえて実施機関において必要な検討を行い、適正な費用負担となるようにすることが望ましい。
 
[説 明]
 1) 大阪市における公文書公開制度の目的が、市民の市政参加の推進と市政に対する理解と信頼の確保にあることを考慮すれば、公文書の公開に係る手数料については、現行条例第11条第1項の規定どおり、無料とするのが適当である。
 2) 公文書の写しの作成及び送付に要する費用については、実費弁償の考え方から、請求者の負担とすることが適当である。ただし、公文書の写しの作成に要する費用については、実費の範囲内で、できる限り請求者の利用しやすい金額とすべきである。
 また、電磁的記録の写しの作成等に係る費用については、技術的な側面も大きいので、国の設定水準等も参考にしながら、実施機関において必要な検討を行い、適正な費用負担の水準となるようにすることが望ましい。

12 審査会
 1 審査会の名称を「大阪市情報公開審査会」に変更することが適当である。
 2 審査会のより適正かつ円滑な審議に資するため、審査会が有する調査権限 (インカメラ審査やヴォーン・インデックス)を条例上明記することが適当である。
 3 審理の迅速化に資するため、部会制の導入など審査会体制の充実を図ることが適当である。
 
[説 明]
 1) 審査会の名称については、条例の名称変更に伴い、「大阪市情報公開審査会」とすることが適当である。
 2) 現行条例第13条は、審査会の組織及び運営に関する基本的事項を定めているが、審査会の調査権限については明確に定めておらず、規則や規則の委任を受けて審査会の会長が定める審議要領に委ねられており、一部は運用によりこれを補っているところである。
 3) しかしながら、不服申立てに係る事案の複雑多岐にわたる検討項目について、審査会のより適正かつ円滑な審議に資するためには、上記のような運用により対応するよりも、審査会が有する調査権限(インカメラ審査やヴォーン・インデックス)を条例に明記し、これらの権限を有効に活用することが必要であると考えられる。
 また、上記の調査権限の実効性を担保するため、実施機関は審査会からの対象文書の提示要求を拒否できないことや、何人も審査会に対して提示文書の公開を求めることができないことも、併せて条例に明記すべきである。
 4) さらに、審理の迅速化に資するため、部会制の導入など審査会体制の充実を図ることが適当である。
  (注) インカメラ審査 審査会が、実施機関に対して、不服申立てに係る文書を提出させ、実際に当該文書を見分して審議をする権限
     ヴォーン・インデックス 審査会が必要があると認めるときは、実施機関に対して、不服申立てに係る文書に記録されている情報の内容を、指定する方法により分類又は整理した資料を作成し提出することを求める権限

13 文書管理
 公文書の管理の重要性にかんがみ、実施機関による公文書の適正管理の責務規定を条例に設けるとともに、公文書の管理に関する必要な事項を規則で定めることとするのが適当である。
 
[説 明]
 1) 現在大阪市には文書管理に関する条例の規定がなく、各実施機関ごとの文書規程に基づいて文書管理を行っているが、情報公開制度が的確に機能するためには、実施機関による適正な文書管理が極めて重要である。
 そこで、情報公開制度の適正かつ円滑な運用に資するため、実施機関が公文書を適正に管理する責務を有することを条例に明記することが適当である。
 2) また、現在の各実施機関の文書規程は、主に決裁・供覧文書を念頭において整理・保存等の基準や手続を定めているが、対象文書の範囲の拡大に伴い、組織共用文書や電磁的記録の管理に関する基準等を新たに定める必要がある。
 上記の基準等については、実効性をより一層確保するため、法規範としての規則で定め、当該基準等に従って、各実施機関の規程で施行の細目を定め、適正な文書管理を行うこととするのが適当である。

14 情報提供制度の充実
 1 実施機関の保有する情報が適時に、かつ、適切な方法で広く市民等に提供されるよう、情報提供に関する制度及び施策の充実に努める旨の責務規定を条例に設けることが適当である。
 2 1の責務規定に加え、実施機関の説明責務を積極的に果たすため、任意的情報提供にとどまらず、必要的情報提供としての具体的な取り組みを行うことが今後必要であると考えられるので、実施機関においては、条件の整備等必要な準備を行い、順次実施されるよう要請する。
 
[説 明]
 1) 公文書公開制度は、情報公開の中心となる重要な役割を果たすものではあるが、具体的な請求があった場合に当該請求者に限り公開されること、公開された公文書は必ずしも市民等に分かりやすい形にはなっていないことなどの制約がある。
 2) したがって、市民等に対する説明責務を果たすという観点からも、市民等が必要とする市政情報が、個別の請求を待つことなく、適時に、かつ、適切な方法で広く市民等に提供されるよう、さらに一層情報提供に関する制度及び施策の充実に努めることが望ましいと考えられるので、その旨を実施機関の責務として条例上明記することが適当である。
 3) このような一般的な責務規定に加え、実施機関が任意に行う情報提供にとどまらず、説明責務を積極的に果たすために必要な情報提供として、次に掲げるような具体的な取り組みが今後必要と考えられるので、実施機関においては、条件の整備等必要な準備を行い、順次実施されるよう要請する。
  ア 出資等法人の定款や寄附行為、役員名簿、事業報告書、収支報告書、貸借対照表、財産目録、事業計画書、収支予算書、株主総会で提出された資料等を収集し、実施機関の窓口等で自由に閲覧や複写ができるようにする。
  イ 公文書の公開による利便を、個別の請求を行った者だけでなく、広く市民一般が享受できるように、過去に公開された公文書の件名の一覧表をインターネット等で公表するとともに、これらの公開実績のある公文書については、市民等が希望すれば、改めて公開請求をしなくても入手できるようにする。
  ウ 大阪市の基本計画や審議会の答申など大阪市の施策に関わる文書、冊子等については、行政資料センターや公文書館のほか、各区役所や地域図書館等にも配架し、市民等が身近な場所で閲覧できるようにする。
 4) 次に、市民等からの請求に基づく情報提供のあり方としては、現在も必要に応じて実施しているところではあるが、決裁文書等公文書のままの形では市民等がその内容を理解しにくいときや請求の趣旨に合致する公文書が存在しないときには、分かりやすく加工した情報や請求の趣旨に対応する情報を別途提供する取扱いを更に徹底することが重要である。
 また、公文書公開請求があった際に、請求に係る公文書が個々の適用除外事項の規定に該当し、非公開となる場合であっても、行政の説明責務を果たすという観点から、市民の生命、身体、健康等を保護するため公益上特に必要があると認められるときは、とりわけ個人の人格的な利益に配慮しつつ、必要な情報提供を行うべきである。この点、「公益上の理由による裁量的公開」という規定を設けて、行政処分で行うという方法もあるが、個別の適用除外事項の中に設けられた公益上の理由による義務的公開の規定と重複するのではないかと考えられる。むしろ、上記のような場合には、公開請求に係る公文書そのものの公開に拘束されることなく、必要な情報をより分かりやすく、迅速に市民に知らせることのできる情報提供の手法によることが適当であり、その旨の規定を整備することが望ましい。
 5) 各種の情報提供を行う際には、当該情報を分かりやすく、タイムリーに提供するため、行政資料センターや公文書館における配架や有償刊行物としての頒布等を行うことはもとより、インターネットをはじめとする情報化社会にふさわしい広報媒体の積極的な活用を図るなど、広く市民等に伝達し得るよう工夫する必要がある。