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公文書公開制度のあり方に関する中間取りまとめ
1999年10月 大阪市公文書公開審査会
まえがき
大阪市公文書公開審査会は、公文書公開請求に係る不服申立ての審議を行うとともに、公文書公開制度の運営に関する重要事項について調査・審議するために、昭和63年7月1日に施行された大阪市公文書公開条例第13条の規定により、大阪市長の諮問機関として設置され、現在までに通算169回の開催を重ね、数多くの不服申立てについて判断してきました。
当審査会では、このような不服申立ての審議を通じて、公文書公開制度の利用者である市民の皆さんがこの制度に大きな関心と期待を寄せられている ことを肌で感じるとともに、施行後11年が経過した本制度に改善すべき
課題があることを痛感するに至りました。
そのような中で、当審査会は、平成10年8月5日、大阪市長から「公文書公開制度のあり方」について諮問を受けました。
この諮問を受けて、当審査会では、会議を公開して審議を行うことを原則として、18回の審査会を開催し、その議事録を公開するとともに、市民の皆さんや各種団体などから幅広く意見を聴取しながら、審議を進めてきたところです。
今回の「公文書公開制度のあり方に関する中間取りまとめ」は、これまでの審議経過や審議内容について、当審査会での議論を取りまとめたものですが、答申に至る検討段階の情報を公表することで、市民の皆さんをはじめ
各方面からのご意見を答申に反映させていきたいと考えております。
そのため、検討項目によっては、一定の方向性を示すことなく、敢えて両論を併記することにより、論点を提示することといたしました。
最後に、この中間取りまとめについて、さらなるご意見が寄せられることを希望し、今後当審査会においてより一層議論を深め、早期の答申に向けて審議を続ける所存でございます。
平成11年10月
大阪市公文書公開審査会
会長 庄 谷 邦 幸
第1 これまでの審議経過等
1 審議経過
大阪市公文書公開審査会(以下「審査会」という。)は、大阪市公文書公開条例(昭和63年大阪市条例第11号。以下「条例」という。)第13条第2項の規定に基づき、平成10年8月5日、大阪市長から「公文書公開制度のあり方」について諮問を受けて以来、これまでに18回にわたり審議を行ってきた。その審議の経過は、次の表にまとめたとおりである。
2 審議方法
「公文書公開制度のあり方」の審議については、平成10年7月1日に施行された「会議の公開に関する指針」に基づき、会議を公開して審議を行うこととした。
なお、条例第12条の規定に基づく不服申立てに係る諮問案件の審議の際にも、時間があれば「公文書公開制度のあり方」についての審議を行うものとし、その場合には、審議の内容を次回の公開で行う「公文書公開制度のあり方」の審議の際に公表することとした。
いずれの場合にも、各回の審査会における議論の要点を記載した議事録を作成し、公開した。
3 検討項目
審査会における「公文書公開制度のあり方」についての主な検討事項は、(1)条例の名称、(2)条例の理念・目的、(3)実施機関の範囲、(4)対象文書の範囲、(5)請求権者の範囲、(6)適用除外事項、(7)請求及び決定の手続等、(8)手数料、文書管理、情報提供等、(9)その他の各項目としたが、これらの項目は、公文書公開制度というシステムの中で相互に密接な関連性があることから、毎回ごとに個々の具体的事項について結論を集約する方法は採らず、全項目について委員による自由な意見を出し合った後に、議論を取りまとめていくこととした。
4 市民等からの意見聴取
審査会では、審議を進めていくにあたり、多方面からの意見を反映することが望ましいことから、市民の方々や各種団体などから幅広く意見を聴取することとした。
平成10年12月から2か月間、「市政だより」や「みおつくし総合ネット」などにより、公文書公開制度に関する意見の公募を行った結果、7件の意見が寄せられた。
また、平成11年1月の審査会において、情報公開の推進に取り組み、本市条例の利用実績を多く有する市民団体4団体から、制度に関する意見を聴取したほか、同年3月の審査会では労働団体からも意見を聴取した。
5 今後の審議予定
今回の中間取りまとめについて、市民の皆さんをはじめ各方面から率直な
ご意見をいただき、そのようなご意見も参考にしながら、今後審査会においてより一層議論を深め、できるだけ早期に大阪市長に答申を提出する予定である。
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回 |
開 催 日 |
審 議 内 容 |
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第1回 |
平成10年10月26日 |
審議運営方法の決定、検討項目の選定 |
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第2回 |
11月 9日 |
条例の目的(「知る権利」、説明責務等) |
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第3回 |
11月30日 |
実施機関(外郭団体等) |
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第4回 |
12月21日 |
条例の目的、実施機関 |
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第5回 |
平成11年1月11日 |
市民団体からの意見聴取 |
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第6回 |
2月15日 |
対象文書の範囲(決裁供覧の手続、電子情報等) |
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第7回 |
3月15日 |
請求権者の範囲、市民から寄せられた意見の報告 |
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第8回 |
3月26日 |
労働団体からの意見聴取 |
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第9回 |
4月19日 |
適用除外事項(公開・非公開の枠組み、個人情報) |
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第10回 |
5月10日 |
適用除外事項(法令秘情報、機関委任事務情報、法人等情報、任意提供情報、意思形成過程情報、事務事業執行情報等) |
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第11回 |
6月 7日 |
適用除外事項全般 |
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第12回 |
6月28日 |
部分公開、裁量的公開 |
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第13回 |
7月12日 |
請求方法、請求の受理、決定期間、著しい大量文書の公開請求、存否応答拒否、文書不存在、理由付記、第三者の意見聴取、手数料等 |
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第14回 |
7月26日 |
部分公開、裁量的公開、手数料等 |
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第15回 |
8月12日 |
救済手続、審査会 |
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第16回 |
8月30日 |
総合的な情報公開の推進、文書管理、条例の名称等 |
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第17回 |
9月27日 |
救済手続、審査会、総合的な情報公開の推進、条例の名称等 |
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第18回 |
10月 4日 |
中間取りまとめ案 |
第2 検討項目ごとの審議内容
1 条例の名称
現行条例の名称は、その対象が紙を中心とした媒体に限られていることから、「大阪市公文書公開条例」としているが、一般的に「公文書公開」という用語よりも「情報公開」という用語の方が広く用いられ、市民にとっても分かりやすく親しみやすいものであること、今後は後述のように、紙を中心とした媒体に限らず電磁的な媒体に記録された情報も公開の対象に含めることや、情報提供制度をより充実したものに拡充していくという観点からも、「公文書公開条例」ではなく、「情報公開条例」とするのが適当であると考えられる。
2 条例の理念・目的
情報公開制度は、憲法の保障する地方自治の本旨すなわち住民自治の精神に由来するものであり、この制度を具体的に規定する条例において、この憲法の理念を踏まえたものであることを明確にすべきではないかと考えられる。
また、いわゆる「知る権利」については、現状では学説等において多くの理解の仕方があること、最高裁判所の判例において請求権的な権利としては認知されていないことから、条文に明記可能なまでに成熟した概念でないという考え方もある。
一方、「知る権利」という言葉は、今日広く一般的に用いられており、市民の間にもかなり浸透し、定着してきていると考えられること、また我が国における情報公開制度の発展に先導的な役割を果たしてきたことは否定できないことから、市民にとって分かりやすく利用しやすい情報公開制度の推進を図るためにも、何らかの形で条例上市民の「知る権利」を明記すべきではないかという考え方もあるので、これを明記すべきかどうか、明記する場合、条例のどの部分に、どのような表現で記載するかについて、引き続き検討を重ねていく必要がある。
上記の憲法の保障する地方自治の本旨からすると、市政が主権者である市民の信託に基づいて行われるものであることの当然の帰結として、本市は市政の運営について市民に説明する責務(アカウンタビリティ)を有しているのであり、本市の機関が保有する情報を積極的に公開することにより、これを全うすべきことを条例の目的に掲げる方向で検討する。
3 実施機関
(1) 外郭団体等
本市は外郭団体等の資本金等の全部又はその一部を拠出しており、外郭団体等は本市の事務事業の一部を補完又は分担し、市政の重要な一翼を担うとともに、補助金などの財政的支援や職員の派遣などの人的支援を本市から受けているものが多いことからすれば、外郭団体等の設立の趣旨や自律性に配慮しつつも、法律上可能な範囲内で、これまで以上に外郭団体等の情報公開を推進していく必要がある。
しかしながら、外郭団体等については、民法、商法その他の法律等各種の根拠により多様な設立形態をとっており、本市から独立した法人格を有することから、外郭団体等を条例上の実施機関とすることは、条例制定権の範囲等現行法上限界があると考えられる。
そのため、外郭団体等の情報公開を推進する観点から、当該法人自らが、本市の条例の趣旨にのっとり情報公開に努めるべき旨の責務を課すこと、実施機関に対して、積極的に外郭団体等の情報を収集し、これを公開していくよう努め、設立形態や本市の出資比率、本市の事務事業との関連性の程度等に応じて、外郭団体等の情報公開が推進されるよう必要な指導等を行うべき旨の責務を課すことなどの規定化が考えられるが、その方法や具体的な規定の仕方等について引き続き検討する。
(2) 議 会
大阪市会については、本会議や委員会の議事録の公開、本会議の傍聴や委員会のモニター放映など市民に対する市会情報の積極的な提供が既に行われているところである。議会は、憲法及び地方自治法上、住民から選挙により選出された議員で構成される独立した議決機関であって、議会の情報公開についても、その独立性、自主性が十分尊重されるべきである。
4 対象文書の範囲
(1) 組織共用文書
現行条例第2条第2号では、決裁又は供覧の手続が終了していない文書は、対象文書に含まれていないが、このような手続を終了していない文書についても、市民に説明する責務を全うし、市民による行政への参加を促進する観点から、公開すべきものがあると考えられる。また、行政機関の保有する情報の公開に関する法律(平成11年法律第42号。以下「情報公開法」という。)についても、対象文書を決裁又は供覧の手続が終了したものに限定せず、実施機関の職員が組織的に用いるものとして、当該実施機関が保有しているもの(以下「組織共用文書」という。)としており、これとの整合性も考慮すると、組織共用文書を条例の対象とし、対象文書の範囲を拡大することが適当である。
ただし、どのような文書が組織共用文書に当たるのかについては必ずしも明らかでないので、今後その範囲を明確にしていく必要がある。
(2) 電磁的記録
OA化の進展により本市の有する行政情報が大量に磁気テープ、フロッピーディスク等の電磁的な媒体に蓄積されている現状にかんがみ、電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られた記録をいう。以下同じ。)についても、新たに公開請求の対象とすることが適当である。
ただし、電磁的記録については、公開窓口等における機器の設置等の問題や閲覧・写しの交付の際の非公開情報の分離の方法等の技術的問題があるため、今後これらの問題について検討していく必要がある。
5 請求権者の範囲
現行条例第5条は、請求権者を本市内に在住、在勤、在学等している「広義の市民」に限定している。
このことは、公文書公開制度が地方自治の本旨という憲法の理念を踏まえた制度であり、また、制度の運営に係る費用を市民が負担しているという点からみて合理性を有するものであり、本市が説明責務を有するのは第一義的には市民に対してであることからしても、請求権者は「広義の市民」のままでよいとの考え方がある。
しかし、本市の行政活動の広域化、国際化に伴い、市政に関する情報ニーズも拡大してきており、いまや市政に関心と関わりを有する者は「広義の市民」に限られるものではなく、より一層開かれた市政の推進に資するためにも、請求権者は「何人も」とするべきではないかとの考え方もあるので、引き続き検討する。
6 適用除外事項
(1) 公開・非公開の枠組み
現行条例第6条本文は、適用除外事項に該当する情報が記録されている公文書については「公開しないことができる。」と規定しているが、原則公開の趣旨をより明確に、分かりやすくするため、上記の表現を、適用除外事項に該当する情報が記録されている場合を除き、「公開しなければならない。」との表現に改め、実施機関の公開義務を条文上明らかにすべきではないかと考えられる。
また、これまでの条例の運用等を勘案して、原則公開の趣旨を徹底するため、適用除外事項を整理統合することが望ましい。
(2) 法令秘情報
現行条例第6条第1号は、「法令又は条例の規定により、公開することができないとされている情報」と規定しているが、平成11年7月16日に公布された地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律(平成11年法律第87号)により現行の機関委任事務が廃止され、新たに法定受託事務が設けられることとされたので(平成12年4月1日施行)、現行条例第6条第5号の機関委任事務情報の規定は廃止することとし、法定受託事務に関して主務大臣等から非公開の指示があった場合等については、本号が適用されるよう規定を整備すべきである。その際、原則公開の趣旨を徹底するため、単なる指示ではなく、一定の法的拘束力のある指示に限定することが必要と考えられる。
また、上記の適用除外事項の統合・整備と併せて、行政機関の保有する情報の公開に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(平成11年法律第43号)において、情報公開条例に基づく著作物等の公開と著作者の権利との調整規定が新たに設けられた著作権法その他の関係法律と条例の規定との整合性も十分検討する必要がある。
(3) 個人情報
個人に関する情報を保護する目的は、個人の正当な権利利益の保護であり、その中心をなすのは個人のプライバシーと考えられるため、個人情報の非公開の範囲をプライバシーという概念で画する手法もある。
しかしながら、プライバシーの概念は今日においても必ずしも明らかではなく、適用除外事項の範囲を画する判断基準としては適切とはいい難い。そこで、プライバシーを中心とする個人の正当な権利利益を最大限に保護するため、個人に関する情報で、特定の個人が識別され、又は識別され得るものを原則として非公開とした上で、公開すべき情報を例外的に規定する現行条例第6条第2号の「個人識別型」の規定方式が適当である。
なお、「個人識別型」の規定方式による場合、例外的に公開すべき事項を列挙したただし書の規定の仕方が公開の範囲を左右することになるので、より一層公開の必要性と個人の権利利益の保護とのバランスのとれたものとなるように規定の整備充実を行う必要がある。
特に公務員の職務の遂行に係る情報については、アカウンタビリティの観点からこれを明らかにする意義は大きいので、当該公務員の職及び当該職務遂行の内容に係る部分を公開する旨の明文の規定を設けるべきである。
他方、公務員の氏名については、既に出張等公務に関わる本市職員の氏名を原則として公開しているが、本市以外の公務員の場合、その氏名は、私生活においても個人を識別する基本的な情報として用いられているものであり、当該公務員の私生活にも影響を及ぼすことがあり得るので、その公開の範囲については、情報公開法との均衡も考慮して引き続き検討する。
個人の人格と密接に関連する反省文や著作者の権利利益を侵害するおそれのある未発表の研究論文等のように、特定の個人を識別することはできないが、公にすることにより、なお個人の権利利益を害するおそれがあるような情報についても、個人に関する情報として保護する必要があると考えられるが、引き続き検討する。
(4) 任意提供情報
個人又は法人等は、法的に提出が義務付けられていない情報については、それを公開するか否か、また、いかなる条件で公開させるかについて、自らの判断で決定することができるのが原則であり、非公開との条件の下に任意に提出した情報の非公開取扱いに対する期待と信頼は、法的な保護に値するものである。他方、非公開約束があれば、すべて非公開とするのでは、原則公開の条例の理念が活かされない。
また、規定のあり方についても、独立した条項として残して要件を整備する考え方のほか、法人等から任意に提供された情報については、法人等情報の規定により保護しようとする考え方や、情報提供者の期待と信頼は事務事業執行情報の規定により保護すべきであるとする考え方もある。
そこで、個人又は法人等から任意に提供された情報については、当該情報に付された公にしないとの条件が合理的である場合に限り非公開とするなど要件に関する検討とともに、規定のあり方についても引き続き検討する。
(5) 機関委任事務情報
現行条例第6条第5号の機関委任事務情報の規定については、6、(2)で述べたとおり、廃止の上、同条第1号の法令秘情報の規定に統合・整備することが適当である。
(6) 国等協力関係情報
現行条例第6条第6号の国等協力関係情報の規定は、本市と国等とがお互いに協力して推進していく事務事業に関して相互の協力関係又は信頼関係を確保するために定められたものである。
しかし、地方分権の推進の観点からは、国等との協力関係情報のみを特別の適用除外事項として規定しておく必要性は乏しく、事務事業執行情報や法令秘情報、意思形成過程情報といった他の適用除外事項において公開・非公開の判断をすれば足りると考えられるので、規定のあり方について引き続き検討する。
(7) 意思形成過程情報
現行条例第6条第7号の意思形成過程情報の規定は、本市の機関内部や
行政機関相互の調査、研究、協議等の意思形成過程にある情報は、行政としての最終的な意思決定がされる前の未成熟なものであるため、外部からの干渉等により率直な意見の交換や意思決定の中立性が損なわれたり、投機等により一部の者に利益を与えたり、市民の間に無用の誤解や混乱を生じさせないために置かれたものであり、基本的には今後も必要な規定である。
しかし、市政に関する意思決定がどのようなプロセスを経て行われているかについての市民の関心は高く、本市としても市政について市民に説明する責務を全うするためには、支障のない限り意思形成過程にある情報についても公開していく必要があると考えられる。
また、意思形成過程という用語が連続した行政過程のどの部分を意味するのか不明確であることから、この適用除外事項がかなり広く解釈されるおそれがあることも指摘されている。
そこで、現行条例第6条第7号の表現について、「調査、研究、協議等の意思形成過程に関する情報」とあるのを、例えば「審議、検討又は協議に関する情報」として、対象とされる情報の範囲を絞り込むとともに、具体的に
「支障」の内容を例示するなど、公開・非公開の要件が明確になるような 規定のあり方について、引き続き検討する。
(8) 事務事業執行情報
現行条例第6条第8号の事務事業執行情報の規定は、本市の行う事務事業の公正又は円滑な執行を確保するため、公開することにより事務事業の目的を損ない、又は公正若しくは円滑な執行に支障が生じると認められるものを非公開とすることを定めたものであるが、「公正若しくは円滑な執行に支障が生じる」の規定の仕方が抽象的であるため、解釈によっては、非公開の範囲が広くなりすぎるおそれがあり、実際の運用としても、非公開決定の理由として本号が適用される場合がかなり多いのも事実である。
そこで、本号が適用される要件をより明確にするため、本市が行う事務事業に関し、どのような支障が生じる場合を非公開とするかの類型化を行う等、規定のあり方について引き続き検討する。
7 部分公開
公開請求の対象となった文書は、その一部に適用除外事項が含まれていたとしても、全体を非公開にすべきではなく、原則公開の理念から公開可能な部分は公開すべきものである。
この趣旨を明確にするため、現行条例第7条では部分公開を「行うもの とする」となっている表現を「行わなければならない」に改め、部分公開が可能な場合は部分公開を行う義務があることを明示することが望ましいと考えられる。
また、部分公開の要件の規定の仕方としては、現行条例第7条のように請求の趣旨を損なうか否かという主観的な基準とするか、分離後の情報が有意の情報であるか否かという客観的な基準とするかの法技術的な問題があり、どちらの基準を採用するかについては、引き続き検討することとする。
さらに、個人情報に関し、特定の個人を識別することはできないが、公にすることにより、なお個人の権利利益を害するおそれがある場合も想定されるので、この場合の情報の取扱いについても検討する必要がある。
8 公益上の理由による裁量的公開
国の情報公開法や一部の地方公共団体の条例には、適用除外事項の規定に該当する場合であっても、当該規定により保護される利益に優越する公益上の理由があると認められる場合には、実施機関の高度な行政的判断により公開することができるとする「公益上の理由による裁量的公開」の規定が置かれている。
この「公益上の理由による裁量的公開」については、(1)そのような規定を置くまでもなく、実施機関の行政的判断により情報提供等の方法で公開することも当然可能である、(2)公益との調整は個々の適用除外事項の規定において既に判断されており、再度公益と比較衡量する必要はない、という考え方もあるので、引き続き検討する。
9 存否に関する情報
情報公開法第8条は、「行政文書の存否に関する情報」として、開示請求に係る行政文書が存在しているか否かを答えるだけで、不開示情報を開示することとなるときは、当該行政文書の存否を明らかにしないで、当該開示請求を拒否することができる規定を設けている。
本市が行う事務事業においても、例えば、個人を特定してその病歴や生活 保護の受給の有無、懲戒処分等の人事記録に関する情報等を請求された場合、当該請求に係る公文書が存在しているか否かを答えるだけで、個人のプライバシーを侵害したり、今後の事務事業に支障が生じる場合が想定される。
このような請求については、これまでと同様に現行条例の解釈・運用により対応できるとの考え方もあるが、一方で法的な根拠を設けて対応すべきではないかとの考え方もあるので、本市としてこの制度を導入するかどうか、導入するとした場合の誤用・濫用の防止策等の点について、今後さらに検討する。
なお、存否応答拒否の規定を置く場合には、当該決定を非公開決定に含めて行政処分として位置付け、不服申立て等による救済の対象とする必要があると考えられる。
10 請求手続
(1) 請求方法
現行条例第8条では、窓口における請求のほか、運用により郵送による請求を認めているところであるが、請求者の利便を図るため、ファクシミリその他の通信手段による請求についても、実際に請求を受け付ける実施機関の側において、誤送や請求意思の確認等の問題や、受信設備の整備の状況その他の事務処理上の問題を勘案しつつ、今後検討を進め、必要な条件整備に努めていくことが望まれる。
(2) 請求の受理
現行条例第9条第1項では、請求書を受理した日の翌日から起算して14日以内に公文書の公開をし、又はしない旨の決定をすることとしているが、大阪市行政手続条例(平成7年大阪市条例第10号)第7条は「行政庁は、申請がその事務所に到達したときは遅滞なく当該申請の審査を開始しなければならず、…」と規定し、「受理」の概念をとっていないことから、公開請求があった日から○日以内に決定する旨の規定に整備することが望ましい。
また、この場合、請求書の補正に要した日数は、公開決定等の期間から除く必要がある。
11 決定手続
(1) 決定期間
文書特定後の決定期間については、情報公開法では30日としているが、現行条例第9条第1項の原則14日を変更する必要性は乏しい。ただし、ファクシミリその他の通信手段による請求を認める場合、到達日をどうするかの問題(客観的に届いた日とするか、休日もあるので請求窓口の職員が請求書を了知した日とするか)もあるので、引き続き検討する。
(2) 著しい大量請求に係る決定期間の特例
公開請求に係る公文書が著しく大量である場合、現行条例第9条第4項の規定により決定期限を延長(最大44日間)しても対応できないことがあり得るので、情報公開法第11条のように、当初の決定期限内に公開請求に係る公文書のうち相当の部分につき決定し、残りの公文書については相当の期間内に決定等をする特例の導入について、公文書の公開を求める権利の十分な保障という点に留意して、引き続き検討する。
(3) 文書不存在の取扱い
現行条例には、公文書が存在しない場合の決定の根拠規定がないので、これを整備し、不存在決定も非公開決定に含めて処分性を持たせ、不服申立てによる救済の対象となるようにすることが望ましい。
(4) 理由付記
現行条例第9条第3項は、非公開又は部分公開の決定を行う場合には、決定書にその理由を付記しなければならない旨を規定しているが、今後も請求者が非公開の理由をその記載自体から十分理解できるようにしておく必要がある。
12 第三者保護に関する手続
対象文書に第三者に関する情報が記載されている場合、現行条例第9条第5項は、必要に応じて当該第三者の意見を聴くことができる旨を規定しているが、第三者の権利を保護するための適正な行政手続の保障という観点からは、任意的な意見聴取の機会付与に加えて、意見聴取を義務付ける場合の規定を設けることについても、引き続き検討する。
また、第三者に関する情報が記載された対象文書について、第三者からの意見聴取を行うとした場合において、当該第三者の意思に反して、実施機関が公開の決定をし、対象文書を公開しようとするときは、争訟の機会の確保など第三者の正当な権利利益を保護するための措置が必要である。
そこで、そのような場合には、実施機関は公開の決定を当該第三者に通知するとともに、公開の決定と公開の実施との間に不服申立て等の手続を講ずるに足りる相当の期間を確保するなど、第三者保護の規定を置くべきであると考えられる。
13 手数料等
公文書の公開に係る手数料については、公文書公開制度の趣旨、目的からみて、現行条例第11条第1項の規定どおり、無料とするのが適当である。
公文書の写しの作成に要する費用については、実費の範囲内で、できる限り請求者の利用しやすい金額とするべきである。また、電磁的記録の写しの作成や交付に係る費用についても、技術的な面も踏まえて検討しておくことが必要である。
14 審査会
現行条例第13条は、審査会の組織及び運営に関する基本的事項を定めているが、審査会の調査権限については明確に定めておらず、規則や規則の委任を受けて審査会の会長が定める審議要領に委ねられており、一部は運用によりこれを補っているところであるが、不服申立てに係る事案の複雑多岐にわたる検討項目について、審査会のより適正かつ円滑な審議に資するため、審査会が有する調査権限(インカメラ審査やヴォーン・インデックス)を条例上明記することが必要であると考えられる。
また、審理の迅速化の観点から部会制など審査会体制の充実について検討する必要がある。
(注)インカメラ審査 審査会が、実施機関に対して、不服申立てに係る文書を提出させ、実際に当該文書を見分して審議をする権限
ヴォーン・インデックス 審査会が必要があると認めるときは、実施機関に対して、不服申立てに係る文書に記録されている情報の内容を、指定する方法により分類又は整理した資料を作成し提出することを求める権限
15 情報提供制度の充実等
公文書公開制度は、情報公開の中心となる重要な役割を果たすものではあるが、具体的な請求があった場合に当該請求者に限り公開されること、公開された公文書は必ずしも市民等に分かりやすい形にはなっていないことなどの制約がある。
したがって、市民等に対する説明責務を果たすという観点からも、市民等が必要とする市政情報が、個別の請求を待つことなく、適時に、かつ、適切な方法で広く市民等に提供されるよう、さらに一層情報提供に関する制度及び施策の充実に努めることが望ましいと考えられるので、その旨を実施機関の責務として条例上明らかにする方向で引き続き検討する。
また、文書の管理については、対象文書の範囲の拡大に伴う目録の整備とともに、紛失・滅失等がおこらないようより一層の適正管理を図る必要がある。
大阪市公文書公開審査会委員名簿<省略>
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