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大阪府・行政情報化推進計画

                    1998年 3


           目    次

        1 計画策定の趣旨

        2 行政情報化の動向

            (1) 国の動き  (2) 地方自治体の動き  (3) 本府の現状と課題

        3 行政情報化のめざすべき方向

            (1) 抜本的な業務改革・行政運営の高度化

                ア 意思決定の迅速化  イ 内部管理事務の効率化

                ウ 文書ライフサイクルの効率化  エ 情報共有による事務の迅速化・効率化

            (2) 府民サービスの向上・府民参加の推進

                ア 行政情報の提供・府民参加の推進  イ ワンストップサービス

        4 行政情報化のための条件整備

            (1) 行政システムの再構築  (2) 情報通信基盤の整備

            (3) 職員の意欲と能力の向上  (4) 安全性・公平性の確保

        5 推進体制

           (1)行政情報化所管セクションの役割

           (2)部局等行政情報化推進担当者の役割

           (3)各所属行政情報化推進担当者の役割

           (4)全庁的な推進体制

        6 年次目標

        7 計画の見直し


1 計画策定の趣旨

本府においては、これまでも大型コンピュータをはじめとする各種情報機器や庁内LANなどの情報通信基盤の整備を進め、財務会計システムの導入をはじめとする事務処理の効率化・迅速化や、パソコン通信を利用した情報提供 (O-NET24)など府民へのサービス向上に努めてきた。

 しかしながら、インターネットの急速な普及に象徴されるように、現代社会における情報化の進展は、社会活動のあらゆる局面において想像以上の大きな変革をもたらしつつある。こうした中で、行政においても、改めて情報の価値を捉え直し、進歩し続ける情報通信技術を行政運営システムの枢要な資源と位置づけ、最大限に活用する必要がある。国や先進的な地方自治体においても、このような状況を踏まえた新たな取り組みが行われているところである。

 本府においても、行政の情報化を行政改革推進の重要な手段として明確に位置づけ、平成14年度(2002年度)を目標に、省力化・省資源化効果の見極めと適正な行政執行の確保に留意しつつ、意思決定の迅速化や事務処理の簡素化・効率化などの抜本的な業務改革を情報通信技術の活用によって推進し、もって行政運営と府民サービスの質的向上を図るため、本計画を策定する。

 

2 行政情報化の動向

(1) 国の動き

 平成7年度から8年度までの2年間で急速に整備が進んだ情報通信基盤(本省庁職員1.2人に1台のパソコン配備、平成8年度末現在)を生かし、行政情報化推進基本計画(平成9年12月20日閣議決定)に基づき、事務・事業や組織の改革を推進するとともに、セキュリティの確保等に留意しつつ、「紙」による情報の管理から情報通信ネットワークを駆使した電子化された情報の管理へ移行し、21世紀初頭に高度に情報化された行政、すなわち「電子政府」の実現をめざすとしている。

 

(2) 地方自治体の動き

 地方自治体でも、国の動きに合わせて情報通信基盤の整備を中心にした取り組みが活発化してきているが、中には特徴的な取り組みもある。たとえば東京都では、必要な部署ではパソコンを職員一人ひとりに1台ずつ配備し、これに応じて職員の情報リテラシーの向上を図るとともに、財務会計システムなど31の大規模システムについてより効率的なシステムへの体質改善を目標に掲げた見直しを行っている。また、京都市では、「水平連携に乏しい縦割り型の組織構造」や「市民とのコミュニケーションの不足」などの行政課題への対処という目的意識を明確にし、組織の見直しや職員の能力向上に情報通信技術を活用することとしている。

情報通信基盤については、宮城、東京、神奈川、岐阜、兵庫など都道府県の過半数が少なくとも本庁での職員一人1台のパソコン配備を整備方針としており、そのうち10県はおおむね5年以内の達成をめざしている。

 

(3) 本府の現状と課題

本府では、昭和39年(1964年)に汎用コンピュータを導入して以来、給与システムにおけるデータベース化、財務会計システムの本格的なオンライン処理など、情報化による事務改善を図ってきた。また、ワープロやパソコンの普及に伴い、昭和60年には本格的なOA化推進拠点としてOAセンターを設置するなど、全国に先駆けた取り組みを進めてきた。

平成7年度には、本庁でLANの構築と共通端末の各課配備を行い、この基盤を活用して予算編成支援システムや会議室予約システムなど、クライアント・サーバ方式による業務のシステム化を進めてきているほか、「大阪府ホームページ」の開設によるインターネットを利用した府民への情報提供や、将来のワンストップサービスやノンストップサービスをにらんだモデル事業として「オーパス・スポーツ施設情報システム」を運用するなど、情報化による府民サービスの向上にも努めてきたところである。

しかし最近、先進的な民間企業等では、情報通信ネットワークを使ってよりスマートに(技術を上手に使いこなす)、よりスリムに(不必要な事務処理プロセスを簡素化する)、よりスピーディに(迅速な反応を確保する)仕事を行うことが当たり前になってきており、そのような状況に比べた場合、本府の現状は遅れていると言わざるを得ない。具体的には、次のような点が大きな課題となっている。

  ○行政情報化に関するこれまでの取り組みが、既存の事務のOA化にとどまり、本来目的とされるべき業務改革にまで踏み込んだ取り組みがなされていない。

  ○その結果として、事務の電子化が進まず、情報提供をはじめとする府民サービスを内部事務の電子化の延長上で行うことが困難なため、情報通信ネットワークを活用した府民サービス拡大の障害となりつつある。

以上のことは、LANやパソコンなどの情報通信基盤の脆弱さと職場の業務改革意欲の不足がその背景にあるものの、行政情報化が行政改革の重要な手段として十分機能し得ていないことを示しており、情報化によって新しい行政システムを構築するため、これらの課題の解決が求められている。

 

3 行政情報化のめざすべき方向

行政のあらゆる分野において情報通信技術を活用し、行政運営と府民サービスの向上を図るため、作業時間の短縮、ペーパーレス化や経費削減などの効果、また、事務事業の必要性、さらには個人情報の保護や適正な行政執行の確保などに留意しながら、以下に重点を置いて取り組みを進める。

(1)抜本的な業務改革・行政運営の高度化

既存の個別事務の処理手順を情報通信技術を活かして単に効率的に組み立て直すのではなく、民間企業で取り組まれているBPR(Business Process Reengineering)も参考にしながら、組織や制度、慣習等の抜本的な改革を前提として、意思決定の迅速化、内部管理事務の効率化、文書ライフサイクルの効率化、情報共有による事務の迅速化・効率化に取り組んでいく。

これにより、府が実施している業務のプロセスを抜本的に改革するとともに、プロセスの中途段階で紙を介在させないよう全体として電子化し、情報通信ネットワークの活用による行政運営の高度化を実現する。

ア 意思決定の迅速化 〜組織のフラット化

行政の業務の中では、報告・連絡・相談、会議など日常のコミュニケーションと紙による事務決裁手続の占める割合が高いため、事務手続が迅速かつ効率的に行われているとは必ずしも言えず、このことが府民ニーズへの迅速、的確な対応を妨げているとも考えられる。

このため、これらを電子上で行う電子メール、電子掲示板、電子会議、スケジューラなどのソフトウェア(総称して「グループウェア」という。)を導入することにより、庁内LANを活用したコミュニケーションを円滑化するとともに、事務決裁の電子化(電子決裁)を進め、組織としての意思決定の迅速化を図る。

【期待される効果】

○ 作業時間の短縮

      ● 複数相手への一斉同報  ● 相手の不在時、繁忙時にも連絡可能

      ● 加工編集による情報の二次利用  ● スケジュール調整時間の短縮

○ ペーパーレス化

      ● 文書、ファクシミリの代替

○ 正確性の確保

      ● 転記誤り等の解消

○ 情報伝達の迅速性

      ● タイムリーな政策判断を支援

【課題】

意思決定手続を合理化し、より迅速な意思決定を実現するためには、事務決裁権限の下位委譲や決裁関与者を合理的な範囲に限定するなど、意思決定に関わる職員を必要かつ最小限の数にすることが欠かせない。また、電子メールや電子会議などの新しいソフトウェアを業務に活用して効果を上げるためには、事前説明や根回しなど従来の意思形成過程そのものも、より合理的で電子的な手段の活用が可能となる姿に変えていく必要がある。

なお、意思決定の迅速化に伴う効果は、数量的な形で示すことが難しく、定性的な効果についての評価も併せて導入のメリットを判断していく必要がある。

イ 内部管理事務の効率化 〜処理プロセスの短縮

給与や旅費の支給、出退勤管理事務などの庶務事務や公共事業における積算事務など、事実の発生とデータの入力、それに伴う処理が庁内で完結する事務を「内部管理事務」と呼ぶこととする。経費の支払手続を除き、外部とのデータ交換が基本的には不要であり、事務が定型的手続であるため、事務の流れの全過程において紙媒体を使わず電子的に情報を処理することにより、重複した転記・入力や不必要な帳票の印刷をなくすなど一層の効率化を図ることができる。

具体的には、職員一人ひとりに配備されたパソコンから必要なデータを入力(一回限り)し、手続上必要なデータのチェックや決裁についても、すべて電子上で実施施行する。

さらに、経費の支払手続についても効率化を図るため、金融機関との間に生ずる手続など歳入・歳出事務の電子化を進める。

【期待される効果】

○ 作業時間の短縮

      ● データの重複入力の省略  ● 帳票の搬送が基本的に不要

○ ペーパーレス化

      ● 出力帳票の削減

○ 文書保存スペースの削減

【課題】

これら内部管理事務の多くは、長い間に培われた行政特有の事務処理慣行に沿って複雑にルール化、様式化されており、そのことが業務の効率化を阻害している場合が少なくない。事務の各段階でのチェックの必要性、一度入力されたデータの最大限の活用という観点から、制度や事務分掌の見直しを実施した上で、事務手続(システム)を整備・改善し、事務の効率化につなげていく必要がある。

ウ 文書ライフサイクルの効率化 〜紙から電子への移行

行政運営の過程で発生した膨大な文書は、検索に手間取るうえ、保管にも巨大なスペースを必要としている。行政運営の効率化を図るためには、業務上で発生する情報を電子化することにより、職員が情報を共有し、迅速に流通させていく必要がある。

このため、庁内の事務処理に用いる文書の作成・入手・管理・施行・保存を可能な限り電子的に実施する。

具体的には、事務に伴って発生する公文書を全て一回の入力だけで自動的に施行するとともに、併せてデータとして管理・保存し、職員はこれらの文書を自由に検索・活用しながら紙媒体に頼らずに事務処理を行うという一連の手続を実現する。

【期待される効果】

○ 作業時間の短縮

      ● 文書の作成、検索、流通に要する時間の短縮

○ ペーパーレス化

○ 文書保存スペースの削減

【課題】

文書の収受・起案から廃棄までの一貫した管理の電子化を実現し、不要な帳票の出力をなくすためには、公文書の範囲を見直す必要がある。現行規定上は電子データは公文書として認められていないため、公文書の定義を見直し、電子データも公文書として位置づける必要がある。

また、それとともに文書の簡素化を推進することがより重要である。現在の文書は、紙媒体を前提として形成されてきたものであり、電子データによる管理が実現すれば不要となるような添付資料なども少なくない。

さらに、セキュリティ対策も重要である。個人情報の含まれた決裁書類の秘密保持やデータの不法改ざん防止策を技術的に確立することと併せて、文書の性質別に確保すべきセキュリティのレベルを設定するなど全庁的な基準を策定する必要がある。

エ 情報共有による事務の迅速化・効率化 〜電子掲示板の活用

増え続ける情報を従来どおりの人や文書に頼った方法で処理することにより発生する「情報の死蔵」や「情報の偏在」といった弊害を避けるため、庁内LANを活用し、電子化された情報を職員間で共有する。これにより、事務処理の基本であるコミュニケーションがより円滑化・活性化され、また、職員の事務処理能力が情報処理能力の向上を通して高まり、ひいては組織全体としての業務の高度化が図られることになる。

具体的には、情報を発生させた部署が責任を持って入力し、管理するという原則(発生源入力の原則)のもとに、庁内各課がそれぞれ電子掲示板を開設し、自主的に運営する。この掲示板にできる限り幅広い行政情報を入力し、職員の間での情報共有を行う。

また、事務処理のマニュアル、統計情報、法令関係情報、市町村情報、各種施策概要などの付加価値の高い情報については、共通データベースとして構築し、効率的な活用を図る。

【期待される効果】

○ 作業時間の短縮

● 加工編集による情報の二次利用

   ● 時点修正が必要な客観的データなどの照会・回答事務の効率化

○ 政策判断の高度化

【課題】

 情報の電子化を進めるためには、各課が庁内電子掲示板の持つ意味を十分に理解し、自主的に運営していくしくみを確立することが重要である。ただし当面は、一定の情報については電子掲示板への入力を義務づけるなど全庁的なルールを設定したり、庁内のニーズを把握して優先度の高いものから整備するなどのアプローチが必要である。

また、全庁に共通する事項を掲示する共通電子掲示板の開設・管理など、電子掲示板の全庁的な統括管理機能も強化する必要がある。情報の所在案内や、検索機能の付加など、職員誰もが使いやすいシステムとして維持管理し、入力情報の拡充と利用促進を図らなければならない。

 さらに、職員の意欲と能力の向上も欠かせない。紙媒体に頼ってきたこれまでの意識を変革し、電子掲示板を参照・活用、作成できる能力を身につける必要がある。

 

(2)府民サービスの向上・府民参加の推進

インターネットをはじめとした双方向の情報通信ネットワークシステムの活用により、国や市町村との連携を進め、府民との間での情報の共有・活用、行政手続に関する府民負担の軽減など府民サービスの向上を図るとともに、オンラインによる意見交換や各種会議への参画など、府民参加の推進を図る。

ア 行政情報の提供・府民参加の推進 〜インターネットホームページの活用

 各課が電子掲示板に提供している情報と同様のものをインターネットのホームページを通じて広く府民へ提供するとともに、国、市町村、関係団体との情報交換、情報の共同利用にも活用する。

また、府民の利便性を高め、重点的に府民に知らせるべき事項に配慮した迅速、適切な広報を実施するため、紙媒体などのメディアとの連携を図るほか、クリアリングシステム(情報所在案内)の整備、府政情報の体系的分類など、より簡単な検索方法の提供を行う。

なお、将来的には情報公開制度における電子的な手段の導入も進める。

現在、O−NET24と大阪府ホームページの中の「知事のパソコン目安箱」により、府民の意見、提案を24時間受け付けているが、今後、各課のホームページに電子メールアドレスの掲示を義務づけ、イベントへの参加受付や府民との意見交換、さらには各種会議への参画など、府政への直接参画手段として府民が活用できるようにする。

【期待される効果】

○ 府民サービスの向上(府政の透明性の確保)

      ● 大量かつ詳細な情報の提供(物理的制約からの解放)

      ● 24時間を通じた情報の提供(時間的制約からの解放)

      ● 双方向のネットワークを利用した幅広い広報・広聴体制の確立

【課題】

インターネットによる情報提供は、情報アクセス手段(パソコン等の機器や操作技術)を持つ者と持たない者との間に不平等をもたらす可能性がある。このため、電子的な提供と並行して他の媒体による提供にも配慮する必要がある。

イ ワンストップサービス 〜「バーチャルふちょう」の実現

国や市町村との情報通信ネットワークの整備拡充等により、府民が自宅から、あるいは府の出先機関やより身近な場所(例えば市町村役場や鉄道駅、コンビニエンスストアなど)に設置された窓口から、操作性のよい端末機やテレビ電話など様々な工夫を凝らした情報通信手段を使って府の担当窓口にアクセスし、府に関連する届出や申請を行うことができ、必要な情報サービスを受けることができる、いわゆる「ワンストップサービス」や、自宅や職場からネットワークを活用して24時間無休のサービスを受けることができる、「ノンストップサービス」を行うための取り組みを進める。

これにより、情報通信ネットワーク上で様々な府民サービスを実施する、いわゆる「バーチャルふちょう」の実現をめざす。

【期待される効果】

○ 府民サービスの向上

      ● 来庁が不要、より身近な窓口一つで対応可能

○ 作業時間の短縮

      ● 本庁と出先機関間の往復、連絡等の事務の削減

      ● 府と市町村間の往復、連絡等の事務の削減

【課題】

ワンストップサービスやノンストップサービスを実現するためには、電子文書・申請書等の共通的な記載事項を標準化するとともに、許認可関係事務等の電子化を進める必要がある。

また、行政機関間での情報流通手段の確保も欠かせない。インターネットなどの汎用的なネットワークの活用や既存の行政ネットワークの整理統合も視野においた総合的な活用方針の策定が必要である。

さらに、電子上で申請された書類が原本であるかどうか(原本性)、申請者が本人であるかどうかの確認(本人認証)や手数料の納付手続も技術的に解決しなければならない重要な課題である。

 

4 行政情報化のための条件整備

抜本的な業務改革による行政運営の高度化、府民サービスの向上と府民参加を着実に実現していくためには、まず、旧態依然とした既存の事務処理慣習を根底から見直し、業務プロセスのスリム化を図った上で、情報システムの整備・改善を実施し、行政システムを再構築することが必要となる。

また、新しい行政システムを支えるため、全庁的な視点で情報通信基盤の整備を進め、情報化に関する職員の意欲と情報処理能力の向上を図る必要がある。

このため、以下のような取り組みを推進していく。

 

(1)行政システムの再構築

ア 業務プロセスの改革  〜事務改善の視点から

情報化による業務改革の効果を最大限に求めるため、事務の処理プロセスを、前例や慣習、根拠規定などにとらわれずゼロベースから見直し、下記の方針に基づき情報化に適したプロセスに改革する。

  ≪業務プロセス改革のための方針≫

  1.事務処理手続の中で簡素化・効率化できるものがないかどうか、以下に基づき検討すること。

   1) 制度そのものの改革について、法令や条例の改正など、その根拠となる規定にまで遡って積極的に見直すこと。

   2) 本庁と出先機関、総務部と各部、さらには総務課と各課との間の組織の機能分担について積極的に見直すこと。

   3) 当該事務手続に関与する者の権限と責任を明確にしながら、決裁権限の下位委  譲や中間関与の見直しを進めること。

   4) 事務処理手続上のチェックについては、事前チェックに固執せず、費用対効果も勘案して柔軟に対処すること。

   5) 中継や取りまとめの事務はできるだけ廃止すること。

   6) 制度の簡素化や情報技術の適用により、事務処理に特殊な知識を要しないしくみとすること。

   7) 事務のフローチャートを図示するなど、誰が見ても分かる形で点検を行うこと。

  2.事務処理手続の簡素化・効率化による作業時間の短縮、ペーパーレス化、経費削減などの具体的な効果を示すこと。

  3.事務手続が変更できない場合は、当該事務手続が他府県や民間企業の事例と比較して、最も合理的かつ簡素なものであることを具体的に示すこと。

  4.システムのユーザー側である職員の意見も積極的に取り入れること。

  5.情報通信技術の適用については、以下に基づき検討すること。

   1) 分散処理の採用など、投資効果に見合った機器構成とすること。

   2) 特定の端末に依拠しないなど、標準的なしくみや手法を用いること。

   3) 発生源入力とペーパーレスを原則とすること。

   4) 意思決定や文書管理などの一連の流れの電子化と連携したシステムとすること。

   5) 他のシステムとの関連を点検し、連携方法の効率化について検討すること。

上記の方針に基づき、まず、財務、人事、情報共有、施設管理など全庁に共通する業務システムに着目し、最新の情報通信技術の導入による効率化を前提とした見直しを行い、それぞれの改善計画を策定する。また、それに引き続き税務事務、許認可事務など各部局の個別業務システムを含むすべての業務システムについても見直しを行い、改善計画を策定していく。

これら改善計画については、効果の高いものから順次実施していく。

イ 業務プロセスの電子化

事務処理手続を効率化することと並行して、現在行われている紙による情報の流通・管理を全体として電子化するため、以下のような取り組みを実施する。

(ア)電子情報の提供・共有

庁内電子掲示板と府のホームページを活用して、行政情報を積極的に流通させることにより、庁内における情報共有と府民への情報提供の拡充に努める。また、平成11年度以降、情報公開制度における電子的な手段の導入も進める。

このため、各種計画や報告書等をホームページを活用して提供することを義務づけるなど一定のルールを作ることにより、各課の自主的な取り組みを促すとともに、各課掲示板のコンテストを開催するなど、情報利用・共有についての意識啓発に努める。

また、電子掲示板の全庁的な統括管理機能も強化する必要がある。情報の所在案内や、共通掲示板の開設・管理、検索機能の充実等、職員誰もが使いやすいシステムとして維持管理し、入力情報の拡充と利用の促進を図っていく。

さらに、全庁に共通するデータベースについては、あらかじめニーズ調査を実施し、優先度の高いものから発生源入力の原則のもとに構築していく。

(イ)申請・届出の電子化

ワンストップサービス、ノンストップサービスの実現を図るため、「オーパス・スポーツ施設情報システム」の運用をはじめとする府と市町村との連携による住民サービスの向上についてのこれまでの取り組みを踏まえて、可能なところから手続事務の電子化を行う。まず、申請・届出の様式について、インターネットによる提供を進める。

(ウ)公文書の範囲の見直し

文書事務の電子化を進めるため、公文書の定義を見直し、電子データも公文書として位置づけることにより、「紙」から「電子」への情報管理手段の移行とペーパーレス化を推進する。

電子データを法律的に公文書と認める上では、「真正性」、「見読性」、「保存性」、「証拠性」を確保することが必要であり、技術的に解決すべき問題も多いため、電子的な認証技術の確立など技術動向も注視しつつ、段階的に見直しを進める必要がある。

このため、早期に課題の抽出を行った上で見直し指針を策定し、可能なものから規定の改正等必要な処理を行う。

(エ)文書のスリム化

現在の文書には、膨大な添付書類や紙データと電子データの混在などの問題があり、そのことが決裁の電子化など事務処理の簡素化・効率化や、情報通信ネットワークを通じた情報公開など府民サービスの向上にとって支障となることが予測される。そのため、各業務システムの見直しに当たっては、重複管理の廃止や必要文書の精査を行うことなどにより文書のスリム化を推進していく。

(オ)文書事務の電子化

本府の事務は、原則として文書によって処理されているため、業務プロセスの電子化に伴い、文書管理のあり方もこれに合った形に改善していく必要がある。そのため、業務システムの改善と並行して電子化を前提とした文書事務のあり方について検討を行い、文書事務の新たなルール化など行政情報化に向けた文書事務の改善方針を策定し、文書事務の電子化を進める。

 

(2)情報通信基盤の整備

行政情報化を支える基盤については、庁舎周辺整備計画の動向にも配慮しつつ、現在の条件の下でも実現可能な整備をめざす。

今後の庁内の情報通信基盤については、技術の進展にフレキシブルに対応できるよう、標準的で普遍性、汎用性の高い機器やシステムの方式を採用し、職員が誰でもごく普通の機器を利用して様々な事務処理を容易に行うことを可能にするような基盤の形成、という基本方針のもとに、セキュリティの確保にも配慮しながら整備を進めていく。

このため、今後5年間で全庁のLANの構築と、必要となる職員にパソコン(以下「職員端末」という。)の配備をめざすとともに、情報システムの見直しの中で、既存機器についても最適化を進める。

整備に要する予算は、既存のOA・情報関係費用をはじめ既存予算の徹底的な見直しにより、所要額を捻出する。

ア 庁内LAN

現在本庁を中心に利用されている電子メールの利用拡大や、今後実施していく内部管理事務の効率化への取り組みを考慮し、導入効果の大きい本庁・出先機関間の情報通信ネットワーク整備を優先的に進める。組織機構の見直し等の動向にも十分目配りしつつ、平成12年度を目途に全出先機関と本庁とのLAN接続をめざす。また、これに伴い、各出先機関に一台の共通端末の配備をめざす。

本庁課内LANについては、職員個人がパソコンを活用するための必要最小限の基盤として位置づけ、予算の範囲内で条件の整った課から順次整備を進める。平成12年度を目途に本庁各課共通サーバを配備し、本庁全課での課内LAN整備をめざす。

イ 職員端末

職員がいつでも必要なときに情報機器を使用できる執務環境を実現するため、予算の範囲内で職員端末の配備を進める。平成12年度には、本庁の全課全係に配備し、さらに、国が「電子政府」の実現目途としている2002年度(平成14年度)には、配備完了をめざす。

また、情報通信基盤の整った職員から申請に基づき順次個人メールアドレスを付与し、2002年度には、全職員への付与をめざす。

なお、本府の財政状況や職員のパソコンを使いこなす能力の状況等に鑑み、当面、以下の取り組みを進める。

    ●  ワープロ専用機のパソコンへの移行促進など各課単位のパソコン導入の推進

    ●  個人所有パソコンの庁内LAN接続の制度化や職員に対する職務用パソコンの 購入助成制度の創設検討など職員の自己啓発の一環としてパソコン活用を支援する取り組み

これらにより、ファクシミリ、ワープロ、複写機などのOA機器を多用し、大量の紙に頼ってきたこれまでの仕事のやり方から、ネットワークに接続されたパソコンによる新しい仕事のやり方への転換を促進する。

なお、急速に進展する技術の動向や庁外業務なども含む業務形態に応じ、たとえばモバイル端末の活用などについても調査研究を進める。

ウ 国及び市町村との間のネットワーク整備

現在、府と国や市町村間のネットワーク基盤としては、インターネットのほか大阪地域情報サービスネットワーク(オーパス)や防災行政無線システムがあるが、これらネットワークそれぞれの役割を再確認した上で効率性と安全性を確保できるよう、整備活用方策を策定する。

また、国で制度化に向けて準備が進められている住民基本台帳ネットワークシステムについては、その動向を見極めたうえ、適切に対応する。

エ ハードウェア・ソフトウェア等の基準の策定

 全庁的な機器の操作性の統一とデータの互換性を図り、また、庁内のほとんどの情報システムが職員端末と共通端末で入出力できる状況を作るため、ハードウェア、ソフトウェア、ネットワーク等に関する基準を策定する。

(ア)職員端末及び共通端末の基本的機能

職員端末及び共通端末の基本的な仕様について、全庁に共通する業務システムの見直しと並行して検討し、平成12年度中を目途に基準を策定し、統一した整備を進める。

(イ)グループウェア・ソフト

 各情報システムが共通して利用するソフトウェアとして、グループウェア・ソフトの統一を図ることとし、全庁に共通する業務システムの見直しと並行して検討を進め、平成12年度中を目途に基準を策定する。

(ウ)ネットワークの通信プロトコル

 庁内LANを始めとするネットワークの通信プロトコルは、外部との接続の確保やネットワークの相互接続性を高めるため、インターネットの標準を引き続き採用することとし、既存のシステムで従来型のネットワークを採用しているものについても、順次インターネット標準への移行を進める。

(エ)安全対策

 庁内LANの拡張と利用者の拡大に伴い、外部からの不正な侵入やコンピュータウイルスなどからの防護を強化するため、管理運用規程等の拡充を図るほか、安全確保のための基準を策定する。

 

(3)職員の意欲と能力の向上

情報通信技術を活用した執務環境の整備に伴い、グループウェアを活用する能力や、ホームページの作成・活用能力は必須となる能力であるが、職員のパソコン利用意欲や能力は必ずしも高いとはいえず、また、パソコンを使用したことがない職員も相当数存在する。

この現状を早急に打開するため、職員の情報化に対する意欲を喚起し、パソコンソフトの基本機能に対する理解や機器操作の習熟などの基礎的な能力の向上と、執務環境の整備状況に対応したグループウェアの活用など、新たな能力の習得・向上を図ることが必要である。

能力開発には、職員本人の意欲と努力が特に重要であることから、職員の自己啓発による能力向上を基本として、部局・職場研修や研修所研修の充実などの取り組みを進める。

ア 職員の自己啓発と自発的参加

日常業務や研修を通じて、職員の情報化に対する意識啓発を進める。また、能力開発の基本となる職員の自主的な学習活動への支援とともに、電子メール利用の義務づけや全庁にわたる事務のパソコン処理のルール化など、職員が業務を通じて情報機器の操作を習得できるような条件づくりを進める。

また、民間の事例をみても、組織内部の情報化を進める上では、トップや幹部職員の情報化に対する理解が欠かせないため、幹部職員に対する意識啓発を推進する。

さらに、これまで実施してきた「なんでやねん運動」などを通じて事務改善に向けた職員の情報化ニーズの発掘、情報化意欲の向上に努め、業務プロセスの改革・電子化などの取り組みに対する職員一人ひとりの自発的な参加を促進する。

イ 部局・所属での能力開発

各部局及び各所属の情報化を推進するため、業務に精通した身近なリーダーの育成を図る。

各部局内の情報化を推進するリーダー(部局等行政情報化推進担当者)が中心となり、各所属のリーダー(各所属行政情報化推進担当者)と連携しながら、部局及び各所属の業務の情報化(電子化)の状況やパソコンやネットワークの整備状況、業務に係る情報処理能力向上の必要性に応じて、部局・職場研修を行い、所属職員の意識啓発と能力開発を進める。

ウ 効果的な職員研修の実施

 情報通信基盤やソフトウェアの整備・標準化に対応して、職員に求められるパソコン操作などの基礎的な研修や、個別業務に活用されるソフトの活用研修については、部局・職場研修との連携の下、民間の研修プログラムの活用など効率的な実施に努める。

また、整備改善・新規導入される業務システムの利用に関する研修は、システム所管セクションが行う。このうち、全職員に利用されるグループウェアなどのシステムについては、システム導入時の研修後、順次基礎的な研修への移行を図る。

これら研修の実施に際しては、今後進められる各業務システムの整備改善状況や基盤整備の進捗状況など、職員を取り巻く環境の変化を踏まえ、研修効果が業務のシステム化や事務処理の効率化に結びつくよう、研修の対象者や内容の重点化を図り、効果的な実施に努める。

 

(4)安全性・公平性の確保

ア 安全性・信頼性対策

ワンストップサービスなどネットワークを通じた府民サービスの向上を推進していくためには、国や市町村との連携を含めた行政内部の事務の電子化が前提であることはもちろんであるが、各種届出や許認可申請などを考えた場合、より基本的な課題は申請者等が本人であるかどうかの確認(本人認証)とセキュリティの確保である。

現在のところ、本人認証技術、あるいは認証する機関については未だ確立されておらず、また、電子書類の内容改ざんや情報漏洩への対策など、セキュリティ確保のための方策についても同様である。ただ、これらの点については、EC(エレクトロニックコマース)など経済の電子化にとっても必ずクリアしなければならない課題となっており、遠からず技術的に解決されると考えられる。民間や国での検討の推移を踏まえつつ、制度面・技術面の検討を進める。

イ 個人情報の保護

情報通信ネットワークを活用した府民サービス向上のための取り組みに伴い、個人情報の漏洩や侵害に対する備えも重要となるため、個人情報保護対策についても個人情報保護条例及び条例の趣旨を踏まえて適切な対応を行う。

ウ 公平性の確保

インターネットの普及率を考慮すれば、情報通信ネットワークを活用したサービスの利用者である府民の条件は、まだまだ整っているとはいえない。

また、電子的な手段によっては情報の入手が不利となる府民の存在も見逃せない。

情報通信ネットワークを活用した行政情報やサービス提供の推進と並行して、電話やファクシミリの活用など補完的な手段についても検討を進めることとする。

 

5 推進体制

(1)行政情報化所管セクションの役割

 行政情報化所管セクションは、府の行政情報化に主導的な役割を果たすものとし、具体的には以下のような業務を行うこととする。

  ア)事務改善を前提とした全庁的な業務システムの見直し

    ● 平成10年度に全庁に共通する業務システムの改善計画を策定

  イ)行政情報化に係る基本方針の決定と進行管理

    ● 行政情報化推進計画の推進、ローリング

    ● ハードウェア、ネットワーク、ソフトウェアの全庁的な基準の策定

  ウ)行政情報化予算要求の調整

    ● 各部各課の情報関連予算の要求を調整(国庫補助事業も含む)

  エ)職員のやる気を支える基盤整備

    ● 庁内LANの整備、職員端末配備の推進  ● 個人パソコンの接続支援

  オ)全庁的な人材育成支援

    ● 各部各課レベルの行政情報化推進担当者の養成・支援

    ● ヘルプデスク体制(トラブル対応・簡易なQ&A対応)の整備

  カ)グループウェア導入の推進

    ● 会議等の現状に関する調査、実証実験の実施と結果の検証

  キ)情報の電子化の推進

    ● 情報の電子化推進のための指針策定

● 全庁共通電子掲示板の整備と庁内電子掲示板の管理

 

(2)部局等行政情報化推進担当者の役割

各部局等の行政情報化推進担当者は、経営工学職を行政情報化の推進要員として位置づけるという基本方向の下で構成し、必要な能力も養成しつつ活用する。

各部局等の行政情報化推進担当者は、行政情報化所管セクションの支援の下に部局内において以下の事務を行う。

    ●  行政情報化の計画化とその推進  ●  部局内の業務システムの改善計画の策定

    ●  課内LANの整備及び本庁・出先機関間のネットワーク化の推進

    ●  情報関連予算の取りまとめ  ●  情報の電子化と電子掲示板の利用促進

    ●  グループウェアの普及と利用促進  ●  職員の情報処理能力向上推進

 

(3)各所属行政情報化推進担当者の役割

整備される情報通信基盤を効率的に運用するため、部局等行政情報化推進担当者を補佐する行政情報化推進担当者を各所属単位で配置し、部局方針の所属における具体化を図る。

 

(4)全庁的な推進体制

行政改革の推進組織の下に全庁的な行政情報化の推進体制を整備する。

● 本計画の推進に向け主要事項を審議する委員会を設置、運営

● 計画の具体化に関する主要事項を調査・検討するため、必要に応じて部会を設置、運営

 

6 年次目標  表<略>)

 

7 計画の見直し

この計画は、今後の行政情報化の進ちょくや社会における情報化の進展状況等を踏まえ、必要に応じて適宜見直しを行う。

また、この計画に基づく業務システムの改善計画や各種基準等の策定・実施状況を踏まえ、毎年度、行政情報化の取り組み方針を策定する。


A1自治体の例規

A2自治体の情報

B1国の法令

B2国の情報

C行政関係判例

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