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 規制改革の推進に関する第3次答申−活力ある日本の創造に向けて−
 
第一章の5(規制に関する基本ルールの見直し)

平成15年12月22日 総合規制改革会議


 第一章 分野横断的な取組
 1〜4<略>

 5 規制に関する基本ルールの見直し
 【問題意識】
 1 総合規制改革会議を中心とした規制改革行政全般のレビュー
 (1)総合規制改革会議のこれまでの活動
 政府において「規制緩和推進計画」(平成7年3月31日閣議決定)が策定されて以来、各分野における規制緩和(改革)が本格的に進展し、現在までの9年間に、延べ5,000項目を超える規制緩和(改革)事項が閣議決定された。その集大成として、3年間の時限機関として平成13年4月に発足した総合規制改革会議は、これまで3次にわたる答申の決定・公表等により強力に規制改革を推進し、以下のとおり多大な成果を上げてきたと言える。
 1年目の平成13年度には、12月の「規制改革の推進に関する第1次答申」に見られるように、これまで規制改革が遅れていた医療・福祉・労働・教育などの「社会的規制」分野(生活関連サービス分野)について、抜本的な「制度・システム改革」を推し進めた。その際、前身の規制改革委員会などには見られなかった試みとして、@すべての規制改革事項に、実施時期(又は結論時期)を明示すること、A関係各省庁との交渉は事務次官レベルなどハイレベルで行うことなどを実施した。
 2年目の平成14年度には、7月の「中間とりまとめ」や12月の「規制改革の推進に関する第2次答申」に見られるように、従来のような個別分野ごと・事業ごとではなく、分野横断的・省庁横断的なテーマを設定して、規制改革の議論を一層深めた。この中で、特に、当会議としては、その「生みの親」として、「構造改革特区」の制度創設を積極的に牽引した。具体的には、7月の「中間とりまとめ」において「構造改革特区」(注:当初は「規制改革特区」とされた)の基本理念や基本制度(いわゆる「通則法」として、幅広い規制改革事項のメニューから地方公共団体が自由に選択し、共通ルールに基づき関係各省庁ではなく内閣主導で特区を認定する仕組みなど)について提案を行い、これらが12月に成立した「構造改革特別区域法」(平成14年法律第189号)の内容に忠実に反映された。この構造改革特区制度の施行により、年度の後半には、当該特区制度の中で、医療・福祉・教育・農業分野への株式会社参入が一部実現するなど、「官製市場改革」が大幅に進展するとともに、構造改革特別区域推進本部との連携の下、関係各省庁に対し規制改革を特区・全国規模のどちらで実現するかといった「二者択一」を迫ることにより、特区における規制改革に加えて、全国規模の規制改革も短期間に大きく進展した。
 また、「第2次答申」には、@「競争政策」の中核的役割を果たすべき公正取引委員会の機能・体制の見直しや、A「官製市場改革」として、国や地方公共団体の行う事業の民営化・民間譲渡・民間委託など行政改革的な側面もある課題などについても、思い切った提言を行うなど、従来の規制改革の範疇を超えた取組も積極的に行った。この段階で、規制改革の外延がこれまでにも増して拡大したものと評価できる。
 3年目の本年度においては、当会議の最終年度ということもあり、医療・福祉・教育・農業などの「官製市場」分野を中心に、長年にわたる最難関の懸案事項を改革の「象徴的事項」として絞り込み、平成15年2月に策定された「規制改革推進のためのアクションプラン」の中で、17の重点検討事項(そのうち5事項については、10月から追加)について、会議一丸となって集中的かつハイレベルの折衝を行ってきているところである。アクションプランの実行に際しては、特に、経済財政諮問会議との密接な連携を図ってきているが、2月に設定された「12の重点検討事項」については、当会議による7月の答申の決定・公表の前に、6月の「基本方針2003」において政府決定が行われ、一定の成果が上げられた。
 また、最終年度は、当会議としてのこれまでの「制度・システム改革」中心の活動を補完し、産業界等からの規制改革要望へ迅速・的確な対応を図るための新たな仕組みとして、6月と11月に、構造改革特別区域推進本部と連携して、特区と全国規模での要望を集中的に受け付ける「規制改革集中受付月間」を創設した。6月受付分は、特区提案に対する対応と同様に、透明性の高い関係各省との交渉プロセスを経て、9月に政府決定(閣議報告)されたところである。
 
 (2)当会議を中心とした規制改革行政全般のレビュー
 規制改革は、産業界等の民間からの「提案」を、政府として「決定」することによって進捗するものである。すなわち、政府が、いかにして民間等から付加価値の高い多くの「提案」を収集し、各省庁を始めとする関係者間で一定の「調整」を経た上で、歩留まりの高い「決定」をできるかが規制改革のポイントである。
 現在の枠組みにおいて、主たる「提案機構」として位置付けられる「総合規制改革会議」については、例えば以下のような様々な課題が指摘されてきたところである。
 @ 先述したとおり、規制改革の対象範囲がすべての行政分野であるとともに、規制改革の外延が行政改革や競争政策など周辺領域にも拡大しつつある中で、現行の委員体制・事務局体制において全体をカバーしきれない局面も多くあったことから、推進体制をより強固なものにしていく必要性が感じられた。
 A 委員・専門委員及び事務局が一体性をもって規制改革を進めるためには、内閣総理大臣に任命された議長が、その他の委員・専門委員を任命できることや、会議の事務所掌にのみ専任できる事務局体制とする必要性が感じられた。
 B 事務局において、民間からの出向者を規制改革専任の幹部として登用することや、当会議の業務に専ら携わる専任者と、他の業務にも携わる兼任者との配置を整理することなどにより、民間出向者らによる活力が会議全体に伝わる体制であるべきことが感じられた。
 C 会議発足当初は、民間からの数多くの提案・要望を収集しこれに網羅的に対応する機能は、前身の推進母体等と比較しても低下していたが、特区制度に触発されてスタートした「規制改革集中受付月間」の試みにより改善の兆しは見られ、「民間委員・専門委員の主導」による問題提起などによりある程度は補完された。そして、この機能を低下させることなく、更に強化させる必要性があると感じられた。
 しかしながら、先述したとおり、当会議のこれまでの活動の状況、すなわち、例えば1年目の医療などの社会的規制分野の改革や、2年目の構造改革特区制度の創設などを見ても、当会議は、会議議長を中心とする民間委員・専門委員、そして、官民出身の事務室員等によるこれまでの規制改革母体には無い強力なイニシアティブにより、少なくとも「提案機構」としては十分な機能・役割を果たしているものと評価できる。
 また、当会議は、政府(総理)に対し可能な限り「価値の高い提案(答申)」を行うため、委員・専門委員が各省庁と極めて高い頻度で直接に「調整」(折衝)を行い、その成果について政府の「最大限尊重」閣議決定を得るという「調整機構」として、それ相応の成果を上げているとも評価できると考える。
 他方、規制改革の「決定機構」たる内閣においては、「規制改革」担当の特命担当大臣が、最近「構造改革特区」担当も兼務するなど、その機能強化に向けた動きがあると評価できるが、先述の通り外延が拡大している規制改革の更なる推進のためには、規制改革担当部局が、構造改革特区やIT分野も含め、包括的・一体的に関連分野も併せて担当し、その権能を一層発揮できるような体制とすべきであることが感じられた。
 
 2 規制に関する基本ルールの在り方
 規制に関する基本ルールについては、平成6年に施行された「行政手続法」(平成5年法律第88号)、「規制の設定又は改廃に係る意見提出手続」(平成11年3月23日閣議決定)や「行政機関による法令適用事前確認手続の導入について」(平成13年3月27日閣議決定)等により行政手続の透明性の向上や規制の質の向上に寄与してきたところであるが、制度策定から一定程度の期間が経過してきていることから、これまでの実績や、明らかになった課題等を踏まえ、その見直しについて検討すべき時期に差し掛かっていると言える。
 さらに、中央政府の規制とともに、地方公共団体の規制についても事業活動等の展開においてボトルネックとなっている事例が依然として見受けられることから、引き続き国・地方を通ずる規制改革の取組を進めていく必要がある。
 以上のような状況にかんがみれば、規制改革を一層進展させるためには、従来の「規制改革」という行為に着目した考え方に加え、規制そのものの質的な管理に着目した考え方に基づき、規制に関する基本ルールを再構成することが必要であると考えられる。そして、その際、政府部内において一層の連携を図り、かつ、地方公共団体の協力も得ながら、実効ある改革を図ることができる体制を構築することが肝要である。

 【具体的施策】
 1 今後の規制改革推進の在り方
 (1)規制改革推進体制の在り方
 規制改革は、政権のサポートの下で、スピード感・緊張感を持って進めることが肝要であることから、より強力かつ集中的に規制改革を実行できるよう、当会議がその設置期限を迎えた後も、引き続き内閣総理大臣の下に時限的な規制改革推進機関を設置するとともに、その事務局機能を強化することが必要である。
 また、規制改革の推進に当たり、今後とも民間の学識経験者や実業界等の知見を十分に活用できる体制とすべきである。
 さらに、一層の規制改革の実を上げるため、構造改革特別区域推進本部を始めとした関連する諸組織との連携を今後とも密にすることが必要である。
 具体的には、
 @ 現在「特区」において規制改革の要望がある事項ができる限り実現されるよう、構造改革特別区域推進本部との連携を強化すべきである。
 A 内閣府に寄せられる日本の市場アクセスに係る苦情や、総務省が全国に展開している行政相談窓口に寄せられる行政相談の中で、規制改革に関するものについては、規制改革推進機関にも随時情報提供されるべきである。
 B 総務省が行っている規制に関する政策の評価及び行政評価・監視に基づく関係府省に対する意見・勧告事項並びに公正取引委員会による競争政策の観点からの関係府省に対する要請事項についても、規制改革推進機関へ情報提供する仕組みを作り、規制改革推進機関も当該事項の扱いについてフォローすべきである。
 C 既存規制のチェックの際活用すべきである「規制影響分析(RIA)」について、その分析手法の開発・向上に向け、規制改革推進機関と総務省及び各府省は連携すべきである。
 D 規制改革と公正競争促進は一体であることから、規制改革推進機関と公正取引委員会は、引き続き密接な協力体制を維持すべきである。
 
 
(2)新たな「規制改革推進3か年計画」の策定
 総合規制改革会議が規制改革を強力に進めることができた理由の一つは、当会議の答申が政府の「規制改革推進3か年計画」に反映されるシステムにある。
 したがって、今後とも規制改革を一層推進するため、平成16年度を初年度とする新たな規制改革推進のための3か年計画を、平成15年度中に策定すべきである。
 
 
(3)規制改革推進機関による規制改革手法の見直し
 規制は、その導入時には、社会的なニーズを背景として、相応の検討を経て設けられるものであるが、その後の社会経済情勢の変化の中で、その意義や必要性が低下したにもかかわらず制度が見直されない場合に、多くの問題が生じる。
 したがって、規制改革推進機関の活動の中心は、今後とも既存規制の見直しとすべきであるが、その手法について、従来の手法に加え、以下の手法も取り入れるべきである。
 @ 規制影響分析(RIA: Regulatory Impact Analysis)の活用
 規制影響分析(RIA)とは、規制の導入や修正に際し、実施に当たって想定されるコストや便益といった影響を客観的に分析し、公表することにより、規制制定過程における客観性と透明性の向上を目指す手法である。
 基本的に、RIAの手法は、規制導入時における客観性や透明性を高めるものであるが、それに加え、規制の導入から一定期間が経過した後に、当該規制がその時点での社会経済情勢に照らしてなお最適であるか否かを判断する材料としても有効である。
 したがって、後述(2(1))のとおり各府省が実施すべきRIAについて、規制改革推進機関が既存規制をチェックする際にも活用できるような仕組みを作るべきである。
 A 「基準」による規制のチェック
 規制の必要性・合理性等を迅速かつ客観的に議論・判断していくため、規制改革推進機関は、規制の見直し基準を早急に策定し、これに基づいて既存規制の見直しを推進すべきである。
 その基準は、「中央省庁等改革基本法」(平成10年法律第103号)第44条第1項の規定及び「規制改革推進3か年計画(再改定)」において、規制の見直しの視点として掲げられている事項を参考にしつつ、参入・退出、業務内容、競争条件といった観点で設定し、個別分野ごとのものではなく横断的なものとすべきである。
 あわせて、その基準は、最低基準としてではなく、むしろ標準として、例えば、その基準を上回る規制については、その必要性・妥当性をより厳しく検証するという形で用いるべきである。
 B 規制の把握と公開
 規制改革推進機関が規制を効果的にチェックしていくためには、規制を的確に把握することも必要となる。
 したがって、例えば、規制の新設・改廃時に、所管府省からその情報(RIA等、個々の規制に対する所管府省の考え方も含めた情報を含む。)が規制改革推進機関に提供されるといった仕組みを作るべきである。
 さらに、個々の規制の適正性を担保するためには、当該規制を規制改革推進機関のみならず公衆の監視の下に置くことが重要であることから、規制改革推進機関が把握している規制の情報については、インターネット等により広く公開されるべきである。その際は、分野横断的な比較が容易となるようできる限り一覧性を持たせるとともに、RIA等も含めた情報を公開するなど、規制改革を促すようなものにすることが重要である。
 なお、情報提供された規制案の中に、上述の「基準」に照らして改革の方向性や理念に反すると認められるものがあった場合、規制改革推進機関は、所管府省に対して必要に応じて意見を述べることとすべきである。
 その際、「規制改革推進3か年計画(再改定)」において規制の新設審査を行うこととされている各府省の大臣官房等、内閣法制局、総務省行政管理局、財務省主計局も引き続き厳格に審査を行うとともに、規制改革推進機関の求めに応じ、情報提供など必要な協力をすべきである。
 C 規制改革要望窓口の強化
 これまで、規制改革は各界から寄せられる要望を契機として行われてきたが、今後も、要望を吸い上げ、改革へとつなげていくことは引き続き重要であり、したがって、これまで以上に広く要望を吸い上げていく必要がある。
 そのために、前述の規制に関する情報公開に加え、要望受付窓口の一層の強化(詳細については、第1章「4 『規制改革集中受付月間』の推進」を参照。)を図ることにより各界各層からの要望の提出を促し、「細部に宿る規制」の発掘を一層強化していくべきである。

 2 規制に係る手続の見直し
 規制について、適正、透明かつ効果的な運用を確保する観点から、規制に係る一般的な手続についても、これまでの運用状況、問題点、制度導入時に積み残された課題等を踏まえ、見直しを行うべきである。
 すなわち、規制の制定過程や運用における客観性・透明性の向上等を図る観点から、RIAを導入するほか、パブリック・コメント手続、日本版ノーアクションレター制度、行政手続法の見直しを行うべきである。
 (1)RIA導入の推進【平成16年度以降逐次実施】
 RIAは、1980年代以降、米国、英国等において導入が進んでいる。我が国では、「行政機関が行う政策の評価に関する法律」(平成13年法律第86号)に基づく「政策評価に関する基本方針」(平成13年12月28日閣議決定)において、規制に係る政策評価の実施に向け積極的に取り組むこととされており、その取組を着実に推進する必要があるものの、義務付けには至っていない。
 しかしながら、RIAの手法は、規制導入時における客観性や透明性を高めるだけでなく、先述のとおり既存規制をチェックするツールとしても有効であることから、すべての規制の新設・改正時に用いられるべきであり、以下のようにその導入を推進すべきである。
 @ RIAについては、各府省において平成16年度から試行的に実施することとし、評価手法の開発された時点において、「行政機関が行う政策の評価に関する法律」の枠組みの下で義務付けを図るものとする。
 このため、毎年度、総務省は、規制改革推進機関と連携しつつ試行的なRIAの実施状況を把握・分析するとともに、その結果得られたこれらの取組の推進に資するような知見・情報等を各府省に対して提供することや調査研究等を通じて、政策評価の観点から早急にその評価手法の開発の推進に努めるべきである。
 また、各府省においても、規制改革推進機関及び総務省と連携しつつ評価手法の開発に取り組むべきである。
 A RIAが客観性を持ち得るためには、可能な限り定量的かつ詳細な分析が必要であるが、その分析手法が確立していない現時点においては、一律に定量かつ詳細な分析を義務付けることは行政コストを増大させるのみで実益に乏しい。
 したがって、当面、RIAについては、諸外国の例を参考にしつつ分析項目のみ提示し、内容面については徐々に充実させていくことが適当である。また、定期的なレビューの実施に資するため、レビューの時期や規制を見直す条件等を盛り込むべきである。
 項目例としては、以下の項目が考えられる。
 ア 規制の内容(規制の目的・必要性等を含む。)
 イ 規制の費用分析(規制実施による行政コスト、遵守コスト、社会コストの推計)
 ウ 規制の便益分析(規制実施による産業界や国民への便益、社会的便益の推計)
 エ 想定できる代替手段との比較考量
 オ 規制を見直す条件
 カ レビューを行う時期

 (2)パブリック・コメント手続の見直し【平成16年度中に措置】
 平成11年に閣議決定によって導入された、いわゆるパブリック・コメント手続(「規制の設定又は改廃に係る意見提出手続」)は、国民の権利や義務に直接関わる規制の設定や改廃について、行政機関が原案を公表し、広く国民から意見を聴取・把握した上で、これらを考慮し、最終的な決定を行うという手続を定めたものであり、規制改革推進において極めて重要な役割を担うことが引き続き期待されている。
 しかしながら、本手続における意見・情報の提出主体である国民・事業者からは、提出した意見に対する回答内容の一層の充実や、意見募集の期間の確保、手続対象の範囲の拡大等を求める声が多い。
 したがって、規制改革の一層の推進という観点から、本制度について以下のように見直しを図るべきである。
 @ 現在、「1か月程度を一つの目安」として、各案件については各府省の裁量にゆだねている意見・情報の募集期間について、原則30日間を確保することとし、例外的にそれを下回る期間を設定する場合においては、その理由を募集の周知と同時に公表する。
 A 現在、各行政機関は、提出された意見・情報について考慮したことを明らかにするために、当該行政機関の考え方を取りまとめ、公表しているが、この仕組みが本制度全体において極めて重要な役割を担っていることにかんがみ、特に意見を採用しない場合において、行政機関の考え方を分かりやすく詳細に公表する。
 B 質の高い規制の制定はもとより、有効な代替案を見出す可能性を高める等の観点から、パブリック・コメント手続に際しては、その対象となる規制原案に、可能な限り当該原案に係るRIAを付して、意見・情報の募集の対象とする。
 C 後述する行政手続法の見直し作業において、パブリック・コメント手続の法制化についても検討を行う。
 D 総務省は、例えば「意見・情報の処理方法に不備があるものが無いか否か」、「公表時期に不備があるものが無いか否か」といった観点から、本制度の実施状況に係る調査項目の充実を図るとともに、所管事項に係る苦情処理・相談を行い、パブリック・コメント手続の適正な運用を図る。

 (3)日本版ノーアクションレター制度の見直し【平成16年度中に措置】
 広く社会や経済の環境変化に応じて、民間における新たな挑戦や新しい発想に基づく事業活動が機敏に行われるためには、当該活動が法令に抵触するか否かということについての予見可能性の向上が図られることが重要であり、この観点から、平成13年に、民間企業等がある行為を行うに際して、当該行為について特定の法令の規定との関係を事前に照会できるようにする、いわゆる日本版ノーアクションレター制度(「行政機関による法令適用事前確認手続」)が閣議決定により導入された。
 しかしながら、制度導入から現時点に至るまでの本手続の活用件数については、極めて少ないのが実態である。
 したがって、今後は、導入後の活用状況を検証し、いかに制度の使い勝手を高めるかということが課題となる。同時期に導入された類似の制度である「税務上の取扱いに関する事前照会に関する文書回答」制度について、現在見直しが進められていることもあり、規制に関する日本版ノーアクションレター制度についても、以下のように見直しを図るべきである。
 @ 現在、本制度の対象は「IT・金融等新規産業や新商品・サービスの創出が活発に行われる分野」とされているが、本来、本制度をこのような一定の分野に限って導入する必然性は無く、現に、ほとんどの省庁においては、既に上記分野に限定せず広く照会対象とする考えを示している。
 したがって、少なくとも事業活動を規制する法令については、本手続の対象とするよう対象範囲を見直す。
 A 現行制度においては、行政庁が処分等の権限を有している場合に限定されており、そのような処分等の権限が無く、直接に裁判所が法令の解釈適用を行うべき場合は除外されている。しかし、特定の条項に違反する行為が罰則の対象となる場合であっても、当該特定の条項が処分の根拠を定めるものであれば、その適用について事前に確認することができる。例えば、「○○を行うつもり。△△法□□条では▲▲の行為を行おうとする場合、許可を要することとされ(、無許可で▲▲の行為を行った者は罰則の対象となることとされ)ている。○○は▲▲に含まれるか。(=○○の行為は△△法□□条の許可を要するかどうか。)」との照会は現行制度においても可能である。
 本制度については、例えば「自己の事業活動に係る具体的行為が特定の法令等に規定される定義や範囲に該当するか否か」等を照会したいとの要望が強く存在する。そこで、現行制度の趣旨を一層徹底する観点から、特定の規定に違反する行為が罰則の対象となる場合であっても、当該条項を根拠とする処分があれば本制度の対象となっていることについて周知を図る。
 B 本手続に基づいて照会を行うことができる者は、「将来自らが行おうとする行為に係る個別具体的な事実」を有する民間企業等又はその代理人とされているが、照会主体の範囲の拡大を求める声が強いこと、照会主体の限定が本制度活用の制約要因となっていることにかんがみ、本制度を補完するものとして、例えば民間における団体が会員たる個別企業を代表して照会を行う場合においても、行政機関ができる限り具体的に回答することとする。
 C 閣議決定による指針の下で、本制度の具体的実施方法等については、各府省の判断の下での細則にゆだねられているために、各細則間に内容の強弱あるいは規定の有無といった差異が見られるが、その中には、以下のように合理的な理由に欠く事項もあり、早急な見直しを図る。
 ア 当該回答に至った見解や根拠を回答に盛り込むか否かについて、(a)必ず明記しなければならないと義務付けている府省、(b)付すことができると規定するにとどまっている府省、(c)全く定めの無い府省、との別が見られるが、本制度の趣旨をいかすために、すべての細則において、回答には具体的な見解や根拠等を必ず盛り込むこととする規定を置く。
 イ 照会者又はその代理人からの照会の取下げの申出に対する回答の不実施について、(a)規定を設けている府省、(b)規定を設けていない府省、との別が見られるが、すべての細則において、照会者又はその代理人から照会の取下げの申出があった場合は、当該申出に係る照会に対する回答を行わないこととする規定を置く。

 (4)行政手続法の見直し
 平成6年に施行された行政手続法は、許認可等の申請に対する処分の手続、不利益処分の手続、行政指導の手続、届出の手続等について、行政機関と国民・事業者との間の共通的なルールを定めた法律であり、行政運営における公正の確保と透明性の向上に資するものとして、我が国における規制改革をより実効あるものとしていく上で重要な役割を担っている。このため、政府の「規制改革推進3か年計画(再改定)」においても規制改革の推進に伴う制度的な取組として、「行政手続法を遵守し、許認可等の行政処分及び行政指導の透明性・明確性を確保する。また、引き続き国民・事業者に行政手続法の周知を図り、その活用を促す。」とされているところである。
 しかしながら、国民・事業者からの「行政指導に対する書面交付請求がしにくい」、「届出になったものの許認可と変わらない運用があるが、これに応じざるを得ない」といった声に見られるように、いまだ行政手続法が目指す官と民の関係に到達していないとの指摘が多い。
 言うまでもなく、その解決には一層の官民双方の意識改革と実際の活用・行動が不可欠であるが、一方、このような国民・事業者からの意見や要望を踏まえると、行政手続法の見直しや運用の改善を図るべき事項もあると考えられる。
 したがって、規制改革の一層の推進という観点から、以下のように行政手続法の見直しを行うとともに、その運用について改善すべきである。
 @ 総務省は、行政手続法施行後10年間の運用状況を踏まえ、速やかに行政立法手続等を含めた行政手続法の見直しを行うべきである。なお、その際、規制の設定又は改廃に係るパブリック・コメント手続の法制化についても検討を行う。【平成16年度中に検討開始】
 A 上記の行政手続法の見直しにおいて、行政処分や行政指導における書面交付制度の在り方について、改めて実態調査を行った上で改善すべき点が無いか、検討を行う。【平成16年度中に検討開始】
 B 申請に対する審査基準や処分の基準について「できる限り具体的なものとしなければならない」、「(適当な方法により)公にしておかなければならない」と定める行政手続法の趣旨を踏まえ、申請者たる事業者等から「審査基準の内容について不十分」との指摘や「審査基準の一層の具体化を求める」との要望があるものについては、各所管府省においてパブリック・コメント手続等を行った上で、早急に具体化するとともに、「審査基準の公表がなされていない」との指摘があるものについては、原則公表する。【平成16年度中に措置】
 C 総務省は、現在実施している「行政手続法の施行状況に関する調査」の調査項目について、例えば審査基準設定の有無のみならず公表の有無を加える等、その拡充を図る。【平成16年度中に措置】

 3 地方公共団体における規制改革の促進に向けた方策【平成16年度以降逐次実施】
 我が国が、国全体として規制改革の主目的である「生活者・消費者本位の経済社会システムの構築と経済の活性化」を図っていくためには、国における規制改革だけでなく、地方とも一体となった、あるいは一貫した取組が必要であることは、政府の「規制改革推進3か年計画(再改定)」を始め、地方分権の潮流においても度々言及されているところである。
 地方公共団体においては、例えば総務省のホームページ上で各都道府県別にまとめられているように、規制緩和や業務の民間委託の推進等が進められており、加えて先般の構造改革特区制度のスタートによって国の規制改革への関心が一層高まってきていることから、引き続き、規制改革が地方公共団体独自に、あるいは国と地方公共団体との連携の下で進められていくことが期待される。
 したがって、国においては地方分権の精神を十分尊重しつつ、国・地方を通ずる規制改革推進の観点から、地方公共団体に対し、積極的に規制改革に取り組むよう要請するとともに、国においても、地方公共団体における国の法令等に基づく規制について、必要に応じ検討・見直しを行うほか、以下に掲げる点について取り組むべきである。
 (1)現在、構造改革特区制度の仕組みにより、従前に比べ地域住民・事業者の要望が明らかになりつつある。
 したがって、規制改革推進機関においても、今後とも構造改革特別区域推進本部との一層の連携を図りながら地方における実態の把握を行った上で、問題点や課題を明らかにしていく。
 (2)規制改革推進機関は、全国的な規制改革を一層推進するという観点から必要と考えられる場合には、関係府省に対し、地方における規制改革を支援するような形での技術的助言等を、地方公共団体の自主性及び自立性に配慮しつつ行うよう求める。
 (3)全国展開を図る事業者にとって、各種申請書類等の様式や仕様等が各地方公共団体において異なることは重い負担となる場合があるため、その統一化を望む声も多い。
 したがって、上記のような要望が「規制改革集中受付月間」等を通じて寄せられ、かつ、それに国として対応することが地方分権推進の趣旨に反しない場合には、規制改革推進機関は、関係府省に対し、地方公共団体の自主性及び自立性に配慮しつつ、当該申請書類等の標準様式・仕様を作成し、地方公共団体へ提示を行うことを求める。
 (4)公正取引委員会により「競争政策の観点からみた地方公共団体による規制・入札等について」(平成11年6月)、「公共調達における競争性の徹底を目指して(公共調達と競争政策に関する研究会報告書)」(平成15年11月)が取りまとめられており、実態把握等に有益なものとなっているが、引き続き公正取引委員会は、地方公共団体における規制改革の推進に資する調査・提言を行う。


 <出所−首相官邸HP内>


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