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最高裁(第二小法廷)平成14年06月07日判決
〔情報公開−県議会の食糧費・旅費・県政調査研究交付金・科目更正の予算執行に係る公文書/秋田県〕
平成13年(行ヒ)第135号・非公開処分取消請求事件
破棄差戻
控訴審・仙台高等裁判所秋田支部平成13年02月21日判決(平成12年(行コ)第1号)
差戻控訴審→仙台高等裁判所平成15年01月29日判決(平成14年(行コ)第8号)
上告人 秋田県知事 同訴訟代理人弁護士 加藤尭 木元愼一 同指定代理人 辻高志 佐々木則夫 岩間錬治 太田祐司
被上告人 同訴訟代理人弁護士 沼田敏明 虻川高範 菊地修 江野栄
主 文
原判決中上告人敗訴部分を破棄する。
前項の部分につき,本件を仙台高等裁判所に差し戻す。
理 由
上告代理人加藤尭,同木元愼一の上告受理申立て理由(第2の3(1)ないし(3)を除く。)について
1 本件は,秋田県(以下「県」という。)の住民である被上告人が,秋田県公文書公開条例(昭和62年秋田県条例第3号。平成10年秋田県条例第38号による改正前のもの。以下「本件条例」という。)に基づき,上告人に対し,平成5年度から同9年度の県議会の食糧費,旅費,県政調査研究交付金及び科目更正の予算執行に係る公文書で県議会事務局において保管されているものの公開を請求したところ,上告人から,上記各文書は実施機関である上告人が管理しているものではないから本件条例2条1項に規定する公文書としては存在しないという理由で請求を不受理とする旨の処分を受けたので,同処分の取消しを求める事件である。
2 原審は,次のとおり判断して,上記処分のうち旅行命令書及び復命書以外の文書(以下「本件文書」という。)に係る部分を取り消すべきものとした。
(1)本件文書は,本件条例2条1項1号にいう実施機関の職員が職務上作成したものに該当する。
(2)地方自治法149条8号は,地方公共団体の公文書は法令に別段の定めのない限り総括的に長が保管権限を有することを規定したものと解される。そして,予算調整権及び予算執行権が長に専属し,不当又は違法な予算執行について長が法的責任を問われる立場にあることなどに照らすと,予算執行に関連して作成され,又は取得された文書は,長が保管する権限及び責任を有するものと解される。上告人は,この権限及び責任に基づいて,上告人から独立した機関において現実に保管されている予算執行文書を必要に応じて取り寄せ,その開示の可否を判断することができるから,本件文書は,本件条例2条1項にいう実施機関が管理している文書に当たる。上告人は,本件文書が県議会事務局において秋田県議会事務局文書編さん保存規程に基づいて保管保存されていると主張するが,同規程は,上記解釈を妨げるものではない。
3 しかしながら,原審の上記2(2)の判断は是認することができない。その理由は,次のとおりである。
地方自治法149条8号は,普通地方公共団体のすべての証書及び公文書類の「保管」の総括的な責任と権限を有する者が長であることを明らかにしたものにすぎないのに対し,本件条例2条1項にいう「管理」は,同条3項に掲げられた各実施機関がその主体であると構成されていることからみても,上記の「保管」と異なり,当該公文書を現実に支配,管理していることを意味するものと解すべきである(最高裁平成11年(行ヒ)第221号同13年12月14日第二小法廷判決・民集55巻7号1567頁参照)。したがって,県の文書作成後における保存の根拠規定,保存に至る手続,保存の方法等の実態を確認した上,本件文書が上告人の管理するものであるかどうかを判断すべきものであるところ,原審は,これらの点について何ら審理判断しないまま,前記の結論を導いている。
4 以上によれば,本件文書は本件条例2条1項にいう実施機関が管理している文書に当たるとした原審の判断には,判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反がある。したがって,原判決中上告人敗訴部分は破棄を免れない。そして,本件については,本件文書を管理している者がだれであるかにつき更に審理の上,本件文書が本件条例2条1項にいう実施機関が管理している文書に当たるか否かを判断すべきであるから,同部分を原審に差し戻すこととする。
よって,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。
(最高裁判所第二小法廷 裁判長裁判官 亀山継夫 裁判官 河合伸一 裁判官 福田博 裁判官 北川弘治 裁判官 梶谷玄)
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