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 最高裁(第二小法廷)平成16年01月20日決定

  〔行政調査−税務調査と国税犯則事件の証拠〕


 平成15年(あ)第884号・法人税法違反被告事件
 棄却

   第一審・松山地方裁判所平成13年11月22日判決(平成7年(わ)第166号)
   控訴審・高松高等裁判所平成15年03月13日判決(平成14年(う)第36号)

 最高裁判所刑事判例集58巻01号0026頁、判例タイムズ1144号167頁


 主 文
 本件各上告を棄却する。


 理 由
 被告人3名の弁護人松本恒雄,同東俊一,同高田義之,同中川創太の上告趣意のうち,判例違反をいう点は,引用の判例は所論のような趣旨を判示したものではないから,前提を欠き,その余は,憲法違反をいう点を含め,実質は単なる法令違反の主張であって,刑訴法405条の上告理由に当たらない。
 所論にかんがみ,職権により判断する。
 法人税法(平成13年法律第129号による改正前のもの)156条によると,同法153条ないし155条に規定する質問又は検査の権限は,犯罪の証拠資料を取得収集し,保全するためなど,犯則事件の調査あるいは捜査のための手段として行使することは許されないと解するのが相当である。しかしながら,上記質問又は検査の権限の行使に当たって,取得収集される証拠資料が後に犯則事件の証拠として利用されることが想定できたとしても,そのことによって直ちに,上記質問又は検査の権限が犯則事件の調査あるいは捜査のための手段として行使されたことにはならないというべきである。
 原判決は,本件の事実関係の下で,上記質問又は検査の権限が,犯則事件の調査を担当する者から依頼されるか,その調査に協力する意図の下に,証拠資料を保全するために行使された可能性を排除できず,一面において,犯則事件の調査あるいは捜査のための手段として行使されたものと評することができる旨判示している。しかしながら,原判決の認定及び記録によると,本件では,上記質問又は検査の権限の行使に当たって,取得収集される証拠資料が後に犯則事件の証拠として利用されることが想定できたにとどまり,上記質問又は検査の権限が犯則事件の調査あるいは捜査のための手段として行使されたものとみるべき根拠はないから,その権限の行使に違法はなかったというべきである。そうすると,原判決の上記判示部分は是認できないが,原判決は,上記質問又は検査の権限の行使及びそれから派生する手続により取得収集された証拠資料の証拠能力を肯定しているから、原判断は,結論において是認することができる。
 よって,刑訴法414条,386条1項3号により,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり決定する。 
 (裁判長裁判官 亀山継夫 裁判官 福田博 裁判官 北川弘治 裁判官 滝井繁男)


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