平岡 久のホームページ>

A1 自治体の例規

A2 自治体の情報

B1 国の法令類

B2 国の情報

C 行政関係判例

Toppageへ戻る


 最高裁(第二小法廷)平成21年10月23日判決

  〔国賠法3条2項・求償の対象−県費負担市立中学校教員の体罰による損害賠償義務の最終的負担者/郡山市・福島県〕


 平成20年(受)第1043号・求償金請求事件
   第一審→福島地方裁判所平成19年10月16日判決(平成18年(ワ)第32号)
   控訴審→仙台高等裁判所平成20年03月19日判決(平成19年(ネ)第468号)

 棄却
  上告人・郡山市(第一審・被告)
  被上告人・福島県(第一審・原告)


 主 文
 本件上告を棄却する。
 上告費用は上告人の負担とする。


 理 由
 上告代理人滝田三良,上告復代理人三瓶正の上告受理申立て理由について
 1 本件は,上告人が設置する公立中学校の教諭の体罰によって生徒が受けた損害を国家賠償法1条1項,3条1項に従い賠償した被上告人が,同条2項に基づき,上告人に賠償額全額を求償する事件である。
 2 市町村が設置する中学校の教諭がその職務を行うについて故意又は過失によって違法に生徒に損害を与えた場合において,当該教諭の給料その他の給与を負担する都道府県が国家賠償法1条1項,3条1項に従い上記生徒に対して損害を賠償したときは,当該都道府県は、同条2項に基づき,賠償した損害の全額を当該中学校を設置する市町村に対して求償することができるものと解するのが相当である。その理由は,次のとおりである。
 国又は公共団体がその事務を行うについて国家賠償法に基づき損害を賠償する責めに任ずる場合における損害を賠償するための費用も国又は公共団体の事務を行うために要する経費に含まれるというべきであるから,上記経費の負担について定める法令は,上記費用の負担についても定めていると解される。同法3条2項に基づく求償についても,上記経費の負担について定める法令の規定に従うべきであり,法令上,上記損害を賠償するための費用をその事務を行うための経費として負担すべきものとされている者が,同項にいう内部関係でその損害を賠償する責任ある者に当たると解するのが相当である。 
 これを本件についてみるに,学校教育法5条は,学校の設置者は,法令に特別の定めのある場合を除いては,その学校の経費を負担する旨を,地方財政法9条は,地方公共団体の事務を行うために要する経費については,同条ただし書所定の経費を除いては,当該地方公共団体が全額これを負担する旨を,それぞれ規定する。上記各規定によれば,市町村が設置する中学校の経費については,原則として,当該市町村がこれを負担すべきものとされている。他方,市町村立学校職員給与負担法1条は,市町村立の中学校の教諭その他同条所定の職員の給料その他の給与(非常勤の講師にあっては,報酬等)は,都道府県の負担とする旨を規定するが,同法は,これ以外の費用の負担については定めるところがない。そして,市町村が設置する中学校の教諭がその職務を行うについて故意又は過失によって違法に生徒に与えた損害を賠償するための費用は,地方財政法9条ただし書所定の経費には該当せず,他に,学校教育法5条にいう法令の特別の定めはない。そうすると,上記損害を賠償するための費用については,法令上,当該中学校を設置する市町村がその全額を負担すべきものとされているのであって,当該市町村が国家賠償法3条2項にいう内部関係でその損害を賠償する責任ある者として,上記損害を賠償した者からの求償に応ずべき義務を負うこととなる。
 3 以上と同旨の原審の判断は,正当として是認することができる。論旨は,採用することができない。
 よって,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。
  (裁判長裁判官 中川了滋 裁判官 今井功 裁判官 古田佑紀 裁判官 竹内行夫)
 <下線は掲載者>


A1 自治体の例規

A2 自治体の情報

B1 国の法令類

B2 国の情報

C 行政関係判例

Toppageへ戻る