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 福岡高裁那覇支部昭和51年10月08日判決

 〔法の一般原理・信義則−工場誘致政策の変更/沖縄県宜野座村〕


 昭和50年(ネ)第55号・損害賠償請求控訴事件
 棄却(控訴人上告)

   第一審→那覇地方裁判所昭和50年10月01日判決(昭和49年(ワ)第51号)
   上告審→最高裁(第三小)昭和56年01月27日判決(昭和51年(オ)第1338号)
  控訴人(原告) 大蔵興業株式会社

  被控訴人(被告) 宜野座村

 最高裁判所民事判例集35巻01号0054頁


 主 文
 本件控訴を棄却する。
 控訴費用は控訴人の負担とする。


 事 実
 一 控訴人は「原判決を取り消す。被控訴人は、控訴人に対し、金五五七四万五六一四円及びこれに対する昭和四八年九月一一日から右支払ずみまで年五分の割合による金員を支払え。訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。」との判決を求め、被控訴人は、主文と同旨の判決を求めた。
 二 当事者双方の主張及び証拠関係は、次のとおり訂正削除するほか、原判決の事実摘示と同一であるから、これを引用する。
 (控訴人)
 1 法律上の主張を次の如く要約する。
被控訴人の前村長与儀実清は、控訴人の製紙工場を誘致するとの被控訴人村議会の議決及び右工場用地につき被控訴人村有地を有償で払下げるとの同議会の議決を前提として、控訴人の選定した土地を譲渡すべく測量させ、また、工場用水につき米国民政府に対する水利権申請のために必要な同意を与えるなど種々の協力行為をなしてきたところ、控訴人は、これら被控訴人議会の議決と前村長の積極的な協力があつたので、安心して大金を投じ、工場建設をすすめてきたのであつて、かかる特別な事情下においては、被控訴人の執行機関たる首長即ち村長(村長が与儀実清から現在の末石森吉に変つてもその同一性は変らない)が議会の前記議決を無視して、控訴人の前記工場建設を拒否し、控訴人をしてこれを断念せしめて損害を蒙らせることは、控訴人と被控訴人との間の信頼関係を著しく被る背信行為であり,信義則ないし公序良俗に反し、禁反言の法理からも違法性を具備するものであるから、控訴人の因つて蒙つた損害を賠償する義務がある。
 2 原判決五枚目表九行目、及び同六枚目裏一二行目から一三行目の「一億〇、〇一八万、九、一六六円」とあるを「五五七四万五六一四円」と、同六枚目表二行目の「一、六九〇万四、七〇〇円」とあるを「一八七八万三〇〇〇円」とそれぞれ改め、同六枚目裏六行目(6)の項を全部削除する(なお、同三枚目表四行目の「保証料」は「補償料」の、同六枚目表三行目の「転用不能」は「転用可能」の誤記と認める)。


 理 由
 当裁判所は、次に附加訂正するほかは、原審と同一の理由で本訴請求は棄却すべきものと認めるので、原判決理由の記載をここに引用する。
 一1 原判決九枚目裏八行目「その余の事実」の次に「(但し、大城シズの植付小作中であつたもの及び作付補償料の対象を「茶」と読み替える)」を加える。
 2 原判決一〇枚目裏八行目かぎ括弧の前に、「同年三月二九日」を加え、同一一枚目表一行目「認めることができ、」の次に「(右建築確認申請及び不同意の通知が右日時にそれぞれなされたこと自体は当事者間に争いがない)」を加える。
 3 原判決一一枚目表四行目の「、多額の資金を投じ」を削る。
 二 控訴人は、当審において、前記の如く、本件損害賠償請求につき、法律上保護されるべき利益を控訴人と被控訴人との間の信頼関係におく旨主張するが、言うところの信頼関係がその主張にかかる若干の徴表事実によつて構成されているとしても、それのみでは、未だ民法の不法行為上ないし国家賠償法上、控訴人にとつて保護されるべき利益とまではいえず、本件全証拠によつてもなおこれを認めるに足りない。
 よつて、控訴人の本訴請求は理由がなく、これを棄却した原判決は相当であり、本件控訴は理由がないから、民訴法三八四条に従い、これを棄却することとし、控訴費用の負担について同法九五条、八九条を適用して主文のとおり判決する。
 (昭和五一年一〇月八日 福岡高等裁判所那覇支部)


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